コーチング研修を研修で終わらせない4つのヒント

企業におけるコーチング研修は、一般的なものになってきています。

ウエイクアップも多くの企業にコーチング研修をお届けしており、有り難いことに非常に高い評価を頂戴しています。

一方で、必ずと言っていいほど、毎回聞こえてくる声があります。

「実際にやるのは、なかなか難しいよなぁ」

「学ぶ」と「できる」には大きな隔たりがあり、だからこそウエイクアップのプログラムは「体験学習」スタイルでお届けしていますが、それでも上記のような声が完全に消えることはなさそうです。

では、どうすれば「学ぶ」と「できる」のギャップを少しでも埋められるのでしょうか?
私自身、企業内コーチとして長い間活動し、組織開発コンサルタントとして多くの企業に導入のお手伝いをしてきた経験も踏まえ、コツをいくつかご紹介します。

1.学んだ後、使うシーンを特定する

一番もったいない投資は、研修を研修で終わらせてしまうことです。
そのためには、学んだことを使うシーンをできるだけ具体的に特定しましょう。
部下を持つ方であれば目標面談など、部下がいない方はミーティングなどを想定するといいでしょう。

2.コーチングスキルを使うことを強く意識する

せっかく使うシーンを決めても、新しく学んだことを実践するには「使うぞ」という意識のセットをしないと、ついついいつもの会話になってしまいます。
学んだコーチングスキルの中で、特にどれを使うかを決めるのも効果的でしょう。

3.ひたすら使ってみる

コーチングのスキルを身につける1つのポイントは、

「とにかく使ってみること」です。

例えて言うなら、初めて自転車に乗るようなものです。
おそらくその時は最初から上手にやろうと思わず、ただ失敗と挑戦を繰り返したはずです。
コーチングも同様。
回数・時間をこなせば、必ずできるようになります!

4.仲間を見つける

とはいえ、難しさを感じたり、挫けたりすることもあるでしょう。
でもご心配なく。
あなたの近くには、既に一緒に学んだコーチ仲間がいるはずです。
その仲間達とコーチングの練習をしたり、各自の取り組みを共有したり、相談してみるのもいいと思います。

いかがでしょうか?
いずれも意外性がなく、驚かなかった方もいらっしゃると思います。
しかし、当たり前に思われることを当たり前にやることが、実は大事なんです。

コーチングに興味を持ち、可能性を感じた方はぜひ参考にしてください。

 

 

 

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コーアクティブ・ビジネス会話術 「部下に強み・持ち味を伝える3つのポイント」

もし、自分の上司や先輩に自分の強みや持ち味を伝えられたら、どんな気持ちがするでしょう?

おそらく、悪い気持ちにはならないと思います。

この人は、自分のことを理解してくれる、しっかり見てくれる人だという印象になるのではないでしょうか。

コーアクティブ・コーチングでは、コーチングの中で、

「相手の価値観(本人が大切にしていること)を聴き取り、それを言葉にして伝える」

ということを行いますが、部下との会話の中でも、モチベーションアップや信頼関係を強める会話として応用できます。

部下の強みや持ち味を伝えるポイントは、以下の3つです。

1. 実際の仕事の良い成果(事実)や強みを伝える

ここでのポイントは、「言葉にして伝える」ということです。
実際に言葉で伝えられることによって、伝えられた側は実感値が高まっていき、さらにモチベーションがあがっていきます。

例: 「橋元君は、最近のアンケートで、受講生からわかりやすいという評価が多くなっているね。いつも事前準備をしっかりやっているから、結果となって出てきているのだろうね」
2. 部下の価値観を伝える

部下の仕事をよく見ていると、部下が何を大事にして仕事をしているかがわかってきます。
自分自身が大事に思っている価値観を言葉にして伝えられるということは、それだけでも嬉しくなりますが、自分のことを見てくれている、知ってくれているという信頼感の醸成にもなります。

例: 「橋元君の研修を見ていると、受講生との‘つながり’をとても大事にしていると感じるよ」
3. 伝える時の意識

伝える時に、心がこもっていない言葉は、どれだけ良い内容の話をしても伝わりません。

「本音で相手の強み・持ち味を伝える」

これがポイントです。
実際のビジネス会話術の研修では、受講生一人一人に、「誇れる仕事」を語ってもらいます。
自分自身が誇れると思う仕事の中には、その人のこだわりや、何を大事に思って仕事をしているのかが入っています。

もし面談などで、部下とじっくり話す機会があったら、今年の「誇れる仕事」を聴いてみてください。
その話を聴きながら、価値観を直接伝えてみてください。
そして、この会話術には、大きな副産物があります。

それは、相手の強み・持ち味を伝えている自分自身への影響です。
部下の強みや持ち味を伝える時に、おそらく自分自身の心が温かくなるのを感じることができます。

そうです。
この会話術は、伝えている自分自身も元気が出てくる会話手法でもあるのです。

部下のモチベーションアップや信頼関係を強めるだけではなく、ぜひ自分自身のためにも使ってみてください。

 

 

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「歴史に学ぶ日本的なシステムとリーダーシップ」 第2回 ~ 家訓(かきん) 後世に託す想い ~

今日は、歴史に学ぶシリーズの第2号です。

今号では、江戸時代から明治維新にかけての会津藩の物語で、藩祖・保科正之が家訓(かきん)として遺した将軍家への忠義の想いが、200年の時を超え幕末の会津藩主・松平容保の「京都守護職を引き受ける」という重大な意思決定に大きく影響した、とされている物語に注目します。

幕末、結果として極めて不本意な形で賊軍の汚名を着せられた会津藩のその後を想う時、当時の意思決定に対する賛否には意見が分かれるところかもしれません。

ただ、ここで私が着目しているのは、その意思決定の良し悪しではなく、1人の人間の想いが録音や録画技術のない時代の中でも、200年の時を超えて活き活きと生き続けていた、という点です。

この物語は、何らかの条件が整えば、ある1人の人間が「これが大切だ」と信じたことを、時代を超えて後世の人から人へと伝え遺していくことができる、という可能性を私たちに示してくれています。

このことの背景には、想いを発した人物の社会的地位はもちろんのこと、その人物が果たした役割や貢献の大きさ、さらには人徳などの要因があるでしょう。

しかし、より重要なことは、その想いそのものが、先に連なる時代に生きる人達にとっても「確かに大切だ」と実感できる内容であることです。

会津藩で伝承されたことは、主君に対する忠義の精神という、当時の根本的な価値基準であり、この日本という国で古くから育まれてきた、人としての大切な在り方の1つであったことも無視できないと感じます。

そして、だからこそ、会津藩という忠義に生きたシステムが、現代に生きる私たちの心の中に、今も変わらず鮮烈な印象と共感をもたらしてくれているのだと感じます。

今なお、会津の地や、その縁の方々の中に、会津藩の魂が生き続けていることに、心からの敬意を表したいと思います。

さて、現代に生きる私たちが後世に託す想いは、いったいどんなものなのでしょうか。
それは、いつか己の人生を全うする時に、それぞれの胸に去来するものなのかもしれません。

一方で、いつ私たちの命が尽きるのかについては、私たちには知る由がないことも事実なので、改めて、今の自分が後世に託す想いは何か?を問うてみました。

その自問に対する私の答えは、

「人やシステムの可能性を信じる。
そして、自分の可能性も、信じる。」

という想いです。

こうして言葉にして気づくのは、自分が後世に託したいことは、今を懸命に生きている自分へのメッセージそのままであったことです。

もしかしたら、保科正之も、忠義の精神を誰のためでもない、自分自身のために言い聞かせ、その生を、その瞬間を、懸命に生きていたのかもしれません。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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「リーダー育成とコーチング」 ~ コーチングって、役立つの? ~

これまで長年にわたって、企業の主にリーダー/マネジャー層を対象としたリーダーシップ開発に携わってきました。
その中で、「プレーヤーとしては優秀なのに、リーダーとしてはイマイチ、マネジメントはうまくない」という課題に出会うことが多くあります。

ではいったい、優秀なプレーヤーが優れたリーダーへと成長を遂げるには何が必要なのでしょうか。

私は、意識の変化、つまり、今までのやり方で「通用すること」と「通用しないこと」に気づき、新しい方法に踏み出すこと、

“一馬力の限界に気づき、そこから脱皮する”

ことが、とても大切なことの一つだと考えています。

ところで、「リーダーとは何でしょう?」
様々な定義がありますが、とてもシンプルに言えば、リーダーとは、

“共に力を合わせていける、互いの力を出し切っていける環境・状況をつくれる人”

だと私は思います。

それでは、このような意識の変化はどのようにして起こるのでしょうか。
リーダー育成のための施策、アプローチは多々ありますが、中でもコーチングはとても有効な関わりだと感じています。

コーチングの大きな目的の1つに、

「自分の思考行動パターンに気づき、自覚的に行動を選択できるようになること」

があります。
例えば、多くのタスクを抱えて仕事をしていることをイメージしてみてください。
そのような状況の中、「忙しいのは(負担が大きいのは)当たり前、しんどいけれど仕事はそういうものだから…」と、そのままの状況を無抵抗に受け入れていることはありませんか?

自覚的な行動の選択とは、その状況を受け入れる前に、「どうしてこんなにも忙しいのだろう?」「どうしてうまくいかないのだろう?」ということに、しっかりと向き合うことから始まります。

ここで、あるリーダーの事例をご紹介します。
その方は、結果を達成するという目標のために、自分自身が多くの仕事を抱え込んでしまって忙しくなり、部下の指導や成長に割く時間がないという状況に陥っていました。

本当は、部下が成長するほうが良い結果を達成することはわかっているのに、経験も豊富で一番優秀なプレーヤーである自分が多くの行動をしていました。
でも、それは自分が本当に望んでいたリーダーの姿ではなかったのです。
そこから、私とのコーチングの中で「どうしてこんなにも忙しいのだろう?」「どうしてうまくいかないのだろう?」ということに、しっかりと向き合うことになりました。

自分の思考行動パターンを振り返った結果、1つの気づきが生まれました。
それは、「自分が責任を背負い込みすぎている状態は、メンバーの成長や活躍の機会を奪っている」という気づきでした。
その気づきを得てから、その方の行動が変化していきました。

リーダーがメンバーに荷を分け与え、サポーターに回るようになると、知恵の受け渡しが始まります。
私はその方とのコーチングの中で

「部下を育てたければ、今の自分のど真ん中の仕事、これだけは絶対に渡せないと思うものを渡したらどうでしょう。」

と提案したことがあります。
そうしないと、部下の意識や仕事のステージが上がりませんし、雑用やリスクのない仕事をたくさんさせても部下が大きく育つことはありません。

ただし、これは丸投げとは違います。
重要な仕事を部下に任せたところから、リーダーは部下のサポーターに回るというとても大切な役割が発生し、そしてここには、リーダーにとっての怖れも当然存在します。

任せた仕事が失敗する恐れ、手放すことの怖さ、新しい行動に踏み出す不安、プレーヤーからリーダーに役割がシフトしていく中ではこのような感情が起きてきます。

だからこそリーダーは、自分はどんなリーダーなのか、リーダーとしてどうありたいのかを忘れないようにすることが大事だと思うのです。
また同時に、部下と伴走するサポーターやコーチとしての役割は、今後のリーダーに必須の役割でもあります。
一馬力で疾走するリーダーから、周りを生かす何馬力ものリーダーへ。
リーダーの進化のために、もっともっと組織でコーチングが使われていくことを願っています。

 

 

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「生きている会議の創り方、進め方」 第2号 ~ 会議の雰囲気を意図的に創る ~

その会議の目的を確認した上で会議を始めることの大切さを、前回の第1号でお伝えしました。
今日の第2号では、「会議の雰囲気を意図的に創る」をお伝えします。

皆様もこれまでたくさんの会議に出席してこられたと思いますが、それぞれに、さまざまな雰囲気があったことと思います。

ある会議は‘活き活き’とした雰囲気だったかもしれませんし、また別の会議は‘真剣な’雰囲気、さらにまた別の会議は‘和やか’な雰囲気だったかもしれません。
或いは、恐怖のあまり‘生きた心地がしない’会議もあったかもしれません。

会議の雰囲気は、その内容や主催者の態度や進行の巧拙、発言者の発表内容、参加者の感情など、いくつかの要因が重なった成り行きとして偶発的に現れるものととらえることが一般的ですが、

実は会議の雰囲気は意図的に創ることができます。

その会議の目的を達成するために必要な雰囲気は、自分達で意図的に創ることができるのです。

具体的な方法は簡単です。
まず主催者が、

「この会議の目的を達成するために、私はこの会議をこんな雰囲気で進めたい」

という意図を全体に表明します。
次に、

「この会議の目的を達成するために、あなたはこの会議をどんな雰囲気で進めたいですか?」

と参加者全員に問いかけ、1人一言で発言してもらいます。

可能な限り、全員の発言を求めたほうが効果的です。
参加人数の都合等でそれが叶わない場合は、参加者を2人ないし3人組に分ける形で、自分が創りたい雰囲気を全員が言葉にして発言する時間をとるといいでしょう。

そして、主催者並びに参加者全員が意図する雰囲気を、参加者全員の目に入る場所に書き出します。
ここで全員の答えをまとめる必要はありません。
ただ、それらを1つずつ読み上げる形で、再確認します。
手順はこれだけです。
ぜひ、今日から皆様も試してみてください。

少しだけ解説させていただくと、目的の達成のために参加者全員で力を合わせるにあたり、どんな雰囲気ならばそれがより容易に実現できるのかということを、私たちの無意識や体感覚は既にその答えを知っています。

ところが、一般には、その答えを言葉にして意識化し意図する機会のないまま会議が始まりますので、いつもどおりの言動パターンの結果として生まれてくる雰囲気で、会議が進んでいくことがほとんどです。

その結果として生まれる雰囲気が、会議の目的の達成に資するものであれば問題はないのですが、もし、会議の目的から見てその雰囲気が逆効果なのであれば、リーダーであるあなたは、会議の雰囲気を全員で意図的に創ることにチャレンジしてみてください。

私たち人間はとてもよくできたシステムで、目的が設定されると、その達成に向けて、意識や無意識が作動し始めます。
無意識がセンスしてくれた目的達成に資する雰囲気を、自分の意図として発言することでその会議への当事者意識も強まりますし、それが、会議という生き物が息を吹き返すきっかけを創るのです。

皆様も、会議という生き物の雰囲気を意図的に創ることを、今日から楽しんでみてください。

今回も最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

 

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「ウエイクアップの物語」 第2号 NCRW

コーアクティブ・コーチング(※)の礎の1つがNCRWです。

NCRWとは、

”People are naturally creative, resourceful, and whole.”

という英文の中の単語の頭文字をとったものです。

CTIジャパン創業当初は、「クライアントはもともと完全な存在であり、自ら答えを見つける力を持っている」と意訳してお伝えしていました。

現在は日本語では「人はもともと創造力と才知にあふれ、欠けるところのない存在である」と訳しています。

(* コーアクティブ・コーチング は登録商標です)

 

NCRWは、「ウエイクアップの物語」という文脈においても、最も基本的かつ大切な要素です。

「ワークショップでお伝えしているNCRWをお客様との実務的なやりとりの中はもちろん、オフィス内で体現することが大切だよね」と、当時ほんの数名だったスタッフと夜遅くまで熱く語り合っていたことを、昨日のことのように思い出します。

 

そこには、所謂「医者の不養生」にならないよう、知行合一の一貫性を持って事業を展開したい、という私たちの願いがあり、今も変わらず、そこに熱があります。

同時に、NCRWがビジネスの現場で当たり前になることが必要だ、という想いもあります。

これは私のコーチとしての経験からですが、「答えを見つける力を持っているのは上司である自分だけだ」、というNCRWとは真逆の人間観で仕事を進めていくリスクの大きさは、多くの方々が頭では理解しています。

また、あなた自身はどんな上司と仕事をしたいですか?と問いかければ、

「この人は自ら答えを見つける力がない」

という視点を持つ上司ではなく、

「この人は自ら答えを見つける力を持っている」

というNCRWの人間観で協働できる上司を多くの方が求めています。

読者の皆様も、きっとそういった上司を求めていますよね。

 

ところが、何らかの原因で、結果として、自分の部下には自ら答えを見つける力がない、というスタンスで部下と接してしまい、結果として無用の苦労をしている方が未だに多いと感じています。

 

ちょっと脱線しますが、電子が粒か波かを測定する実験において、測定者が電子は粒だと思って測定すると粒の結果になり、電子は波だと思って測定すると波の結果になる、という話を聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。

 

人間も電子と同じで、目の前の部下のことを、自ら答えを見つける力を持っていると観て接すれば、部下は自ら答えを見つけますし、逆に、この部下は自ら答えを見つける力がないと観て接すれば、そのとおりになります。

 

もちろん緊急事態などの例外はあるにせよ、基本的なスタンスとして「目の前のこの人は自ら答えを見つける力を持っている」という互いの人間観の中で協働することが、人やシステムが本来持っている可能性を拓くためには必要だと考えています。

 

話をウエイクアップに戻しましょう。

基本的な人間観としてのNCRWは、ウエイクアップ関係者の中では定着しています。

そのことは、お互いの本領発揮を促し合いながらの協働を育む土壌という、有難い内部環境をもたらしています。

結果として、権限委譲が進むこともNCRWがもたらすギフトの1つでしょう。

 

一方で、NCRWは全ての経営課題を解決してくれるものではありません。

より突っ込んで言えば、NCRWの人間観をもとに事業を展開していくなら、どうしても手当てしなくてはいけないことがあります。

それを一言でいえば、

 

「意図的な協働関係創り」です。

 

コーチングの現場では当たり前の意図的な協働関係創りは、事業経営の文脈でも必須のプロセスでした。

NCRWで互いに関わるということは、自分と相手、それぞれが互いの当事者意識を育み、「私はこうしたい」という意思を持つことにつながります。

それぞれの「こうしたい」が出そろったところで、組織としてはどうするのか、という次のステップがやってきます。

互いの意見が異なる時にどのように意思決定するのか、という予めの合意が必要ですし、さらに、何のために協働するのかという目的の確認も、意図的な協働関係創りには欠かせません。

 

組織運営における意図的な協働関係創りの大切さを、ウエイクアップは身をもって体験してきました。

次号以降で、そのことに触れていきます。

今回も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。

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コーアクティブ・ビジネス会話術 「部下の指導における傾聴のポイント」

職場での会話で意見の違いが出てきた時に、皆さんはどのように会話をしますか?
 
コーアクティブ・コーチングでは、相手に意識を集中して傾聴することをコーチの傾聴として伝えていますが、職場ではどうでしょう。
 
傾聴の大事さはわかってはいるけど、傾聴できないケースなどはありませんか?
 
例えば、部下の意見が自分の思っていることと違う場合や、部下の報告に不満がある時はどうでしょうか。
すぐに、部下の意見をさえぎったり、自分の意見を押し付けたりしていないでしょうか。
そうすると、部下との信頼関係や部下のモチベーションを下げる要因になりかねません。
 
それでは、どうしたらいいのでしょうか。
 
意識してもらいたい傾聴のポイントは、「一旦、受け止める」という傾聴です。
会話の中でたとえ意見が違っていたとしても、「一旦、受け止める」を意識した傾聴をすると、相手はしっかりと話を聞いてくれた感をもちます。
部下への指導は、「一旦、受け止める」から「人に焦点」を当てていくのがポイントになります。
 
ただ注意する点として、部下の意見をすべて受け入れるということではありません。
部下の意見をしっかりと聴く、まずは、受け止めてから、自分の意見を伝えるということです。
 
対話例をご紹介しますので、ぜひ職場での会話として参考にしてください。
 

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<悪い例>

部下: ウエイクダウンへの営業の事なのですが、なかなか
    上手くアプローチ出来ておらず、これからどう進めて
    いったらいいでしょうか?

上司: その話、前も同じようなことで相談してきたよね。
    あの時指示したことはやったの?

部下: はい、それはやってみましたが、思ったほどには
    うまくいっていなくて、私としてもなんとか食い
    込みたいと・・・

上司: (途中でさえぎって)
    今日はどんな話をしに行ったの?

部下: 今日は雑誌広告のお願いです。

上司: それって順番が違うだろ。Web広告については
    どうなってんだ?

部下: はい、それはまだ・・・

上司: だから進まないんだよ。何度かこのことは指摘して
    るよな。なんで指示通りに動かなかったの?
    (過去の原因分析で詰める)

部下: (萎縮して)ええ、確かに・・・。
 

——————————

<良い例>

部下: ウエイクダウンへの営業の事なのですが、なかなか
    上手くアプローチ出来ておらず、これからどう進めて
    いけばいいでしょうか?

上司: ウエイクダウンかぁ。なかなか苦戦しているよう
    だね。(一旦、受け止める)

部下: はい、そうなんです。考えられる手は尽くしている
    のですが、どうも、担当者の懐に入り込めていない
    感じがしています。

上司: 努力してそういう状態が続くのは、橋本君(部下)
    も歯がゆいよな。(人に焦点)
    俺も経験があるよ。

部下: 課長もそういう経験おありなのですか!?

上司: もちろんだよ。じゃあちょっと一緒に対策を考えて
    みようか。

部下: はい、お願いします!

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ポイントは 「一旦、受け止める」傾聴です。
この傾聴があって、部下のやる気に繋がる「人に焦点」が生きてきます。
「人に焦点」とは、事柄や問題の話をするのではなく、その人の気持ちや思いに焦点をあてることです。
みなさんも職場で、ぜひ試してみてください。

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ウエイクアップ・リーダーズ・マガジン Vol.4 「生きている会議の創り方、進め方」  第1号 〜 目的の明確化と共有 〜

「あなたが主催している会議は、生きていますか?
それとも、死んでいますか?」

ここで、“生きている会議”とは、メンバーが主体的に参加し、その会議の目的に沿った形で運営され、意図した結果を生み出している会議を言います。
生きている会議には活気が溢れ、多くの参加者が顔を上げて、その会議を共に創っています。

逆に死んでいる会議とは、メンバーの主体的な参加が見られず、会議を開くこと自体が目的化している会議を指しています。
死んでいる会議は、ごく一部の声の大きな人の発言のみが目立ち、参加者の多くは下を向いてその会議が早く終わることを待っています。

経験的には、定例化している大型の会議ほど、発足当初の型が機能しなくなり死んでしまっていて、新たに生まれ変わるためのハードルが高いケースが多いようです。
ですが、会議という存在が関係性という生き物の1つの形態である以上、意識的、意図的なデザインによって息を吹き返すことが可能だ、と私は考えています。

このシリーズ「生きている会議の創り方、進め方」では、システム・コーチとして、お客様のリアルなビジネス現場における会議に数多く同席させていただいた私の体験から、皆様がリーダーとして生きている会議を創り、進めていくためにはどうすればいいのかについて、論を進めていきます。
第1号である今号では、「会議の目的を明確にし、それを参加者と共有すること」をお伝えします。

先に触れたように、会議の生死を分ける大きな要素は、参加者の主体性の有無です。
参加者の主体性を喚起するために必要な要素として欠かせないのが、その会議の目的の明確化と共有です。
その会議の目的は何なのか、決定事項の報告なのか、議論を経ての意思決定なのか、部門間の情報交換なのか、結論を求めない対話の場なのか、それぞれの会議によって、その目的はさまざまだと思います。

それがどんな目的であれ、その目的が明確化され参加者に共有されれば、参加者にとって、その目的に沿って安心して発言することの素地が整います。
関係性という生き物の真理として、複数の個体が力を合わせて協働するには、共通の目的が必要だからです。

逆に、目的が共有されていないと、参加者としては、上司の意向やその場の空気を乱すことを恐れて様子見をしてしまうか、もしくは、いたずらに自己主張を重ねるか、のいずれかの可能性が高まります。
共通の目的が無いと協働は難しいものとなり、それぞれの個体は個別の利害や感情に従って行動してしまいがちです。

あなたが会議の主催者であれば、参加者を招集する際や会議を開始する時に、「この会議の目的は○○です」と参加者に伝えることを、今日から試してみてください。
それも、一回だけやればいいということではなく、毎回の会議の冒頭など、ことあるごとに、その会議の目的を周囲に伝え続けることをお勧めします。

場合によっては、同じ会議の中でも、議題毎に目的が異なることもあるでしょう。
その場合は、「今回この議題を取り上げる目的は○○です」という具合に、議題毎に、その会議の中で何を実現したいのか、目的を明確にしてからその議論に入ることになります。

もし、あなたが会議の主催者でなかったとしても、お勧めしたいことは同じことです。
会議全体、もしくは議題毎の目的を確認することは、会議の主催者でなくともできることです。
リーダーとして、その会議の主催者をアシストする意図で、会議の目的を主催者に確認し、それを他の参加者と共有することに取り組んでみてください。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

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「歴史に学ぶ日本的なシステムとリーダーシップ」 第1回 ~ 錦の御旗 ~

<はじめに>

今回から皆さまにお届けする、新シリーズ 「歴史に学ぶ日本的なシステムとリーダーシップ」では、‘ちっちゃな頃から歴史好き♪’という私の一面を活用し、日本的なシステムとリーダーシップについての記事を連載していきます。

このシリーズを展開するにあたり、前提となる事実認識は書籍などの2次以降の情報に頼らざるをえず、従って何が真実かについて実は定かでないという慎重さと、先人達のかけがえのない人生に対する最大限の敬意と共に在る姿勢を、それぞれ大切にしたいと考えています。

さらに、私たち日本のさらなる成長を願う気持ちと、日本はリーダーシップの実践や組織開発という文脈でも世界に貢献できる、という私自身の視点が、本シリーズの下敷きになっています。

従って、歴史上の人物や組織を評価、評論することはこのシリーズの目的ではなく、現代に生きる私たちがそのトピックから何を学び、私たちの意識の進化にそれをどう活用できるか、という視点で論を展開していきたいと考えています。
他のシリーズ同様、気軽に楽しんでいただければ幸いです。

<第1回 ~ 錦の御旗 ~>

古から、日本の歴史における錦の御旗が持つ意味は、自分たちの後ろに国家の最高権威としての天皇や朝廷が存在している、すなわち、天皇や朝廷を擁する自分たちこそ正しい、という正当性の証です。

江戸末期においても錦の御旗は大きな意味を持ち、鳥羽伏見の戦いで薩長軍が天高く掲げた錦の御旗を一目見て、徳川方の総大将である徳川慶喜は一気に戦意を喪失した、といわれています。

実際に慶喜の心の中で何が起きていたかは、今となっては知る術もありません。
ただ、「朝廷に弓を引く逆賊には決してなれない。もしそうなってしまったら、自分がこの世に存在している価値はない」という強烈な思い込みに思考を乗っ取られ、本来持っている自分の可能性を制限し、その後、反応的に行動してしまった、とする見方を私は否定できません。

ここで慶喜の行動を評価することが、この記事の目的ではありません。
私が着目している点は、それまでに培ってきた価値観や思い込みが、ここでは薩長軍が錦の御旗を掲げるという想定外の出来事を引き金にして、一気に人間を思考停止状態に巻き込んでいく、という点です。
慶喜という、当時の最高水準のリーダー教育を受けていた優れた存在をもってしても、それは起こりうるのです。

さらにここで着目したいことは、実際に戦場で掲げられた3本の錦の御旗は、朝廷から薩長が正式に下賜されたものではなく、長州藩が模倣して作ったものだったというエピソードです。

その真偽はさておき、もしそうだったとしたら、その時点での天皇や朝廷の率直な意向がどこにあったのかは客観的には誰にも分らないわけで、その時点で薩長と互角以上の戦力を有していた慶喜には、自らの価値観を損なうことなく目の前の現実により主体的に関与し、別の未来を創造するという選択肢が残されていたはずです。

もちろん、歴史を語る上では、1人の人間の力では如何ともしがたい時流の力も無視できません。
従って、慶喜が別の可能性を持っていたはず、というその点で彼を批判する意図は全くなく、逆に、彼が担った歴史上の大きな役割に対する深い敬意と、人間としての共感を、ここに表します。

さて、翻って、現代に生きる私たちのことです。
時代と環境は違うとはいえ、その志を受け容れ、ひたむきに人生を生きているという点では、私たちも同じリーダーです。
今に生きる自分にとっての錦の御旗は、いったい何なのでしょうか。

少し脱線して正直に告白しますが、私自身が思考停止に陥る引き金の1つは、自分にとって理不尽と感じる非難です。
主体的に生きていれば、周囲からの何がしかの批判や非難を受けることは当たり前と頭では理解していますが、その非難があるレベルを超えると、一気に思考停止状態に突入し、その人との関係を遮断する傾向が私にはあります。

その奥にある私の思い込みは、「自分はとても繊細で、すぐに深く傷ついてしまう。だから自分を深く傷つける存在とは離れていないと生きていけない」というものです。
この思い込みが自覚できてからは、このパターンでの思考停止の発生確率は下がってきているように自分では感じていますが、慶喜と比べると、そもそものレベルが低いですね(笑)。

さて、話を錦の御旗に戻しましょう。
幸い、私には、弊社のミッション、
「意識の進化を呼び覚まし、人やシステムが本来持っている可能性が拓かれた幸せな未来を創ります。」
があります。
仕事の文脈では、これが今の私の錦の御旗です。
会社のミッションが自分事になっていることに感謝を感じます。

この錦の御旗を、自分たちの可能性を制限する方向に使うのではなく、まさにその言葉どおり、自分たちの可能性を拓く方向で活用していきたいと考えています。

少し長くなってしまいました。
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。

 

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企業におけるコーチング

私たちウエイクアップは、2000年よりCTIジャパンとしてコーチ養成事業を始め、以来多くの方に受講頂いています。

15年の経過と共に、多様な形で企業におけるコーチングの認知・導入が進んできましたが、その代表的な活用パターンと、それぞれのメリット・デメリットをまとめてみたいと思います。

企業における代表的なコーチングの活用パターン
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1.コーチング研修の導入
2.エグゼクティブ・コーチングの活用
3.企業内コーチの養成
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1.コーチング研修の導入

「コーチング研修」は、昨今大手企業を中心に一般的な研修テーマとなりつつあります。
目的をおおざっぱに言ってしまうと、「指示命令だけでなく、部下のやる気と可能性を引き出すコミュニケーション手法を学ぶ」といったところでしょうか。
よって、研修の対象は幹部社員の中でも課長・部長クラスを中心とした層、または、文脈をアレンジし「メンター活動のための」や「営業力強化のための」 などといったテーマでの導入も多いかと思います。

・メリット:
1日から3日間の集合研修で体験的に学ぶことができる。

・デメリット:
研修だけで終わってしまうことがあるため、フォローアップ施策を同時に検討することが定着の鍵となる。

2.エグゼクティブ・コーチングの活用

エグゼクティブ・コーチングはその名の通りエグゼクティブ(トップ層)に 提供するコーチングのことで、大手の役員層では導入する企業が増えています。
一例としては、半年間を一つの単位として、3~4週に1回 1時間の時間を持つというパターンがあります。
ウエイクアップが提供するエグゼクティブ・コーチングについては場を改めてご紹介したいと思いますが、日々心身を削り任務を果たすエグゼクティブが定期的に内省する時間を持ち、自身の軸を整え、磨く機会とすることで、より効果的なリーダーシップの発揮に繋げるといったケースが一般的です。

・メリット:
組織のトップ層に集中的に関わるため、効果やインパクトが組織全体に波及しやすい。

・デメリット:
人に相談したり教わることに不慣れな日本企業文化では、マッチしないこともあるようです。エグゼクティブ・コーチには、深い経験や組織における文脈理解と人間力が求められます。

3.企業内コーチの養成

企業において高いスキルや経験を有する人材をコーチとして養成することで、彼/彼女らの経験を次世代に継承し、自社のリーダー人材を効果的に育成していこうとするケースが最近増えています。

企業内コーチの養成では、コーチング研修よりもさらに踏み込み、ある一定期間継続してコーチングを学習することにより、コーチングマインドやコーチングスキルをさらに日常的に使えるようになることを目指します。
継続学習となりますので、集合研修スタイルや電話クラスで段階的に時間をかけて学ぶのが一般的です。

・メリット:
企業文化を知った上でコーチングできる。また、内製化のためコストが少なくて済む。

・デメリット:
プロレベルのコーチを育成するには数年を要する。また社内的な関係性への配慮から、企業内コーチが対応できる範囲も限られることが多く、外部のプロ・コーチを活用する対象者と企業内コーチを活用する対象者とを使い分けることがコーチ活用における成功の秘訣と言えるのではないでしょうか。

ここまで、企業におけるコーチング導入の現状を述べてきましたが、「コーチングを導入したい」と考える時に最も大事なことは、

「何のために?」です。

「何のために?」がクリアになればなるほど、どのアプローチを取るのがいいのか、どんな準備が必要なのかは自ずと見えてくることでしょう。

コーチングを自社に導入したいと考えている方は、最初のステップとして
「何のために?」
からスタートしてみるのはいかがでしょうか。

 

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