リーダーのピープルマネジメント力、足りてますか?

伴想人のしみっちゃん(清水隆明)です。
今日は「リーダーのピープルマネジメント力」について少し書いてみます。

自分で考え、自分で決めて行動するから幸福感とか成長実感が得られる、と感じませんか。逆に、命令されたり、指示されたり、管理されたりして、その通りに行動することばかりの場合は、幸福感や成長実感はほとんどないのではないでしょうか。

多くの人たちの感じるリーダーシップとか理想の上司像とはどのようなものでしょうか。

昭和の時代は、的確に指示を出してくれる、決めてくれるとか、「俺についてこい」的な「マッチョさ」「予算は絶対達成しろ」的根性論……などのように、強くて親分肌で、指示が明確で、上意下達で、汗と涙と根性と長時間労働を美化するようなカルチャーのど真ん中にいるのが、多くの人がメージする上司像だったような気がします。
そのようなリーダーが作りだす組織構造が「支配型ヒエラルキー」です。

リーダーは自分から尊敬を求め、強制・威圧・攻撃・褒美と罰によって部下を操作します。(マシュー・サイド「多様性の科学」)
かつての私の上司も正にそのような人で、私はよくぶつかっていました。もちろん、令和の時代の若者には理解できないでしょう。しかし、現実にはそのようなカルチャーは今でも根強く残っているような気がします。思い当たる人も多いのではありませんか。

例えば、上司に意見を言おうものなら真っ向から否定され、マウントを取られる。とか、昇格候補が二人いて、男性か女性かどちらか一人を選ばなければならないとき、上記のような価値観が評価の客観性の邪魔をする可能性があるとかもそうです。
企業の中には強い男性性を是とする人たちが一定数残っているのは事実でしょう。こうした価値観や風土に疑問を感じない人は、むしろその価値観に順応しているので、そのままで“幸せ”と感じているのかもしれません。

さて、冒頭の話に戻ります。エドワード・デジ博士が提唱したのが「自己決定理論」です。そのポイントは、真にやる気を生み出すのは「褒美」や「罰」などの外部からの強制でなく、自分の意志で決めて行動するという実感(自律性)が重要だという点です。

つまり「俺についてこい型リーダー」や「支配型ヒエラルキー」の組織では「自分で考え、自分で決めて行動する」ことは非常に難しいし、そのためにやる気を出したり、幸福感を感じることは難しいということです。
「自己決定理論」は「人が健康的な成長や幸福、モチベーションを感じるには、三つの基本的欲求が満たされる必要がある」と説きます。

①自律性
自分で選択する、決めるという感覚ですね。言い換えると、行動が「自分の意志によるものだ」と主体的に感じることです。

②有能性
できる、成長しているという感覚です。チャレンジし、上手くやり遂げられるという「自己効力感」のことです。一種の楽観主義とも言えます。

③関係性
他者とつながっている、受け入れられているという感覚です。チーム、組織、コミュニティへの帰属意識です。取り繕うことなくありのままの自分を受け止めてくれることが大切だと感じます。

これには大きなヒントが隠されています。リーダーが作りだすべき組織カルチャーにこれらが必要不可欠ということです。
凄く大雑把に言うとこういうことだと考えます。

①は権限委譲を指しますし、②は「やってみよう」「できるはずだ」というコミュニケーションを指します。③は組織内のコミュニケーション量を上げることや、リーダーの包容力や多様性を尊重するインクルーシブな姿勢を指します。

リーダーのピープルマネジメント力は、このような視点で行動を変えることによってレベルアップが図れるのは間違いありませんね。難しいことではないと思いませんか。