
ウエイクアップのエグゼクティブ・メンター®集団、伴想人®(ばんそうびと)で活動しているまさこ(田中雅子)です。
超高齢化社会が進む中、「人生100年時代」「生涯現役社会」など、エルダー(ここではシニアと同義で、人生経験が長い人たちのことをいいます)のキャリアや生き方が注目される時代になりました。
「夢や希望は若者だけのものではない。エルダーこそ夢や希望を持ち、歳を重ねながらさらに輝き続ける」そんな勇気をもらえる番組を先月見ました。NHKインタビュー「ここから」に登場したサッカー元日本代表監督岡田武史さんのストーリーです。
岡田さんは10年前から愛媛県今治市でJリーグFC今治のオーナーを務め、サッカー専用スタジアムを自らの働きかけで建設、同市で新たに開校した高校の学園長にも就任されています。実は岡田さんは私の前職の先輩にあたります。
会社に在籍されていた頃から、明朗快活、ユーモアで人を惹きつける方でした。
今治では、少年団、ジュニアユース、高校サッカーの指導者を巻き込み「今治モデル」を形成、「岡田メソッド」という独自の育成を始めました。個人が主体的にプレーし、試合中にも自分たちで話し合って変えていけるチームを育てるという信念に基づく挑戦です。
この考えは学園長としての教育方針にも共通し、教育現場でもユニークな取り組みを展開されています。
サッカー専用スタジアムの建設にあたっては、経営経験ゼロからの出発で、少人数のスタッフとともに奮闘。よそ者に対して懐疑的であった地元の方々との絆を作るために奔走し、徐々に信頼を勝ち取りました。
「どんどん緑豊かになり、地元の人の心の拠り所として365日人が行き交う里山のような場所を作りたい」「そこにいるすべての人たちが心震える感動、心踊るワクワク感、心温まる絆を感じる夢スタジアム」というビジョンに共感する人を増やしていったのです。
「ロールモデルがいない時代、先が見えない時代では、自分で判断して自分でやってみないとしょうがない。失敗して学んでいく時代(Error&Learn)」「これからの時代を生きる若い人たちにもその力をつけてほしい」と熱く語る岡田さんの挑戦はこれからも続きます。
ところで、夢と希望はよく一緒に語られますが違いがあります。
「希望学」の第一人者である玄田有史先生(東京大学)によれば、夢は「無意識のうちに見たり、飽き足らない気持ちから次々と生まれる」ものですが、希望は「苦しい現実の中で意識的にあえて持とうとする」ところに特徴があります。
ちなみに幸福との違いは、幸福がその状態の継続を求めるのに対し、希望は「変化」と密接な関係があり、現状を未来に向かって変化させていきたいと考えるときに表われます。
希望学における希望の定義は、Hope is a Wish for Something to Come True by Action(行動によって何かを実現しようとする気持ち)です。
岡田さんも悩みながら試行錯誤を続けて希望を育み、具体的なビジョンにつなげていかれたにちがいありません。玄田先生は定義のby Actionの後にEach Otherを付け加えています。互いを尊重しながら対話を繰り返し、実現に向けともに試行錯誤を繰り返していく、そんなイメージでしょうか。
エルダーたちが意識的に希望をつくり、自分らしくいきいきと行動し続ければ、若い人たちをも元気づけ、社会に希望が生まれやすくなるのではないでしょうか。私は、悩み・苦しみ・失敗を含めたいろいろな経験をできたことに感謝し、そこで得たギフトやご恩を社会に返す旅を自分なりに続けたいと思っています。伴想人はそんな同志です。
これからも仲間とともにエルダーのあり方・可能性について語り合い、前に進んでいきたいと思います。