「伝わる」

伝えようとする人の手

伴想人メンバーの
はまチャン(濵田豊作)です。

青春時代。
「この想い、なぜ伝わらないの…」
そして、ほろ苦い回想へ。

ご心配なく。
今回のテーマは、失恋物語の分析
ではなく、「伝えても、伝わらない」
構造の探索です。

「伝える」と「伝わる」の
微妙な不連動は、私たちの家庭や職場や
様々な人間関係で、悩み、怒り、
トラブルを発生させています。

そこで、先ず、「伝える」について。
日常的に使う「伝える」は、殆どの場合、
別の言葉に置き換える方が的確ですね。
「予定を伝える」は「連絡する」であり、
「上司に結果を伝える」は「報告する」です。

他方、「自分の思い」は「伝える」以外に
代替の言葉が思い浮かびません。
「自分の思いを伝える」はone wordです。
ここぞという時に「最大限の熱量・爆発量を
相手方に引き起こすエネルギー」の伝達行為。
こんな強力な働きかけだと思います。
気合を入れねばならぬチャレンジです。

そして、伝えたい相手は生身の人間
ですから相手に対する「心遣い」が大切です。
言い過ぎない、強すぎないが
弱すぎもない、さりとて優しすぎない、
そんな絶妙のバランス。

中国、宋(11世紀頃)の学者劉恕
(リュウジョ)が「自訴」という書中で、
NGの警句を残しています。

  • 完全を求め過ぎて、怨まれることを気にしない
  • 人の善し悪しを品評し、かばってやらない
  • 思うところのままに、痛いことを言い過ぎる
  • 交わりが浅い人にいろいろと立ち入り過ぎる

「正義」「完璧」「真っ直ぐ」などが
往々にして「伝わる」を阻害する、
悪さをすると言っています。

自分自身の長年の会社生活を振り返るとき、
この警句(=心遣い)は、
大きな課題であり、最大の難所は
経営戦略などの重要な会議です。

議論が白熱し、どうしても相容れない
考え方に対峙すると、いつの間にか、
言葉が熱く強く厳しくなっていきます。
場合によっては、相手の立場や
プライドを傷つけ、しこりを残し、
離反する人影もあります。

「心遣い」は何処かに雲散霧消していました。

でも、同時に、
こんな大事な場面だからこそ
大勢に阿らず、自分の信ずるところを
しっかりとはっきりと論じ切った。
自分に正直であったとの自負も湧きます。

加えて、
ストレートな言葉使いだからこそ、
論点が明白になり、説得力が増すことを
期待してしまいます。
そして、自分の考えがたとえ通らずとも、
私の考え方や言葉が他者の記憶に
しっかりと刻まれることを
期待する自分もいます。

自説に執着し孤立してはなりませんが、
譲ってはいけない「自分の矜恃」が在ります。
矜恃と意地との境目は
少々曖昧ではありますが、それでも、
私はこの矜恃を大切にしたいです。
その結果、
刺々しい「伝わる」になることも
仕方ないと思いつつ。

「相手への心遣い」と「自分の矜恃」
どのような言葉と感情を
適切に選べば良いのか、その折り合いを
どのように付けるのか。
「伝える」「伝わる」は今もなお難問です。

何となく、私の思いは伝わりました?
「えっ、失恋話を聞きたかった…」だって?
(残念)。

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