幸運は不運な出来事の姿をしてやってくる

皆さまはじめまして。
今年から伴想人の仲間に入れていただいた
井上美香と申します。

2020年末に会社を辞め、
今年5月にCPCCをとり、
フリーでコーチをしています。

2020~2021年は、私にとって人生の
転換期だったので、その辺りの事を
書いてみたいと思います。

33年間、二つの化粧品会社で働いてきました。
2020年の初めに役員になり、その時は
定年まで会社人生を歩くつもりでしたが、
コロナ禍になり結果が出せるどころか
経営状況は悪化するばかりで、夏頃には
挫折感に苛まれ、このままで良いのか、
リセットが必要な気がしていました。

紆余曲折あり10月に
年内で会社を辞めることが決まった直後、
全てが吹き飛んでしまう事が起きました。
癌宣告を受けたのです。

宣告を受けた時の事は今でも忘れられません。
目の前が真っ暗になり思考停止しました。

健康には自信があったので、
「まさか自分が」という気持ちでした。
治療に専念するため、仕事は即中止し、
部下たちや社内関係者に自分の状況を知らせて、
謝罪とお別れのメッセージを送りました。

信じられないほど数多くの人から
別れを惜しむ言葉や、温かい励ましの
メッセージを受け取り、自分がどれだけ
多くの人に支えられていたのか身に染みました。
そして、治療を乗り越えてまた生きよう、
という勇気をもらいました。

癌宣告から治療して全快するまで、
一度だけ号泣したことがあります。

それは手術の数日後、
やっと点滴や管が取れ、通常食になった時の事です。
ご飯を食べながら、美味しいと感じて、
「私は助かったのだ、また生きられる」
と思ったら、涙が止まらなくなりました。

この命を、せっかく持ち堪えた命を、
絶対に無駄にしないように、残された
人生を後悔しないように生きたい、
と強く思いました。

そして、なんでも自分の意志でコントロール
できると傲慢に思っていたけれど、
自分が生きられるかどうかは、何一つ
自分の意志ではコントロールできないのだ
と気づかされました。

幸い早期発見で、5月には回復しました。
その頃から、
「自分が心からやりたい事は何か」
猛烈に考え出しました。
コーチになりたい、と
ぼんやり思いましたが、
会社で身につけたことを手放すのは、
もう一人の自分が抵抗していました。

2021年夏にCTI上級コースをスタート
しましたが、上級コース関連の活動と
コーチングセッション以外は毎日暇で
やることもなく、平日の昼間、近所の
あらゆる道を歩きながら、
将来に対する不安に悶々とする日々でした。

それでも秋頃から、プロコーチとして
独立する覚悟と決心がつきました。

今更ながら何故、不安のループから脱出
できたのか考えると、沢山の人との再会や
出会いを通して少しずつ前に進む
エネルギーをいただいたのだと思います。
プロコーチや仲間からコーチングを
受けたことも助けになりました。

今年に入り、伴想人の活動や
CPCC受験を通じても、
多くの出会いがあり、背中を押されました。
本当に感謝しかないです。

人との出会いを通して、お仕事も
少しずつ確実に増えてきて、今は
不安よりも喜びの方が大きいです。

「幸運は不運な出来事の姿をしてやってくる」*1
と田坂広志さんの本に書いてあり、
ずっと藁にもすがる想いでその言葉を
信じてきましたが、本当にそうだったと思います。

私にとって、挫折と大病はまさに
その事を教えられる体験でした。
これまで関わっていただいた皆さんに
心からお礼をお伝えしたいです。
そして今これを読んでいる、
「暗い夜」を過ごしている方に、
微かにでも光が届けば幸いです。

*1『運気を磨く 心を浄化する「3つの技法」』
田坂広志著 光文社新書

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