効果的なリーダーシップの深層 ~ 何のためにそれをやっているのですか? ~

  • チームワークが大切だから部下のモチベーション向上を一番に考え、良いところを見つけては褒めています。
  • 着任時、組織の規律が緩く感じられ、業務プロセスに曖昧なところがあったので、まずはメンバーには厳しく接して緊張感を持たせるようにしています。
  • 「そもそもこの仕事の目的は何か?」というところから議論を始めるようにしています。
これらは日頃リーダーの皆様からお聞きする組織運営の考え方です。皆様、日々悩み、考えながら組織運営に当たられており、本当に頭が下がります。

そして、これらの取組を効果的に機能させているリーダーがいる一方、残念ながら「なかなかうまくいかないね」とため息をつかれるリーダーも少なからず居らっしゃいます。

実際にうまく機能していないリーダーの皆様によくよく話を聞いてみると、

  • 部下のモチベーションを下げないように、失敗させないようにと思うあまり、チャレンジングな仕事を部下に任せ切れていなかった。
  • 改革により部署の空気が引き締まった後も、同じように空気を引き締め続けた結果、リーダーの顔色を伺う組織になり、人が育っていなかった。
  • リーダーの語る「そもそもの目的」の抽象的が高すぎて、周囲がついてこられず、議論がかみ合っていなかった。
という現状が明らかになっていきました。

<効果的なリーダーシップを阻害する原因となるもの>

はたして、効果的なリーダーシップとそうでないリーダーシップとを分ける境界とは、いったい何なのでしょうか。

その答えが「意識の成長段階」にあると考えるとしたらどうでしょうか。

「人の意識」は成長とともに段階を追って進化します。
わがまま放題だった子供は、成長して社会の中で揉まれるにつれ、周囲に受け入れられることの必要性を深く理解し、社会に適応していきますね。
(「社会適応」の意識状態への進化)

ここで問題なのは「社会適応」の段階では、私たちはほとんど気づかないうちに、自尊心や安心感を得るための反応的な行動を取っているということです。

例えば、相手の要求に従うことで相手に受け入れられようとしたり、自分の力を示すことで認められようとしたり、他者を批判することで自分の正しさを証明しようとしたり。

このような「反応」は社会で生きていくためには必要なものですし、個別の仕事を進める上では推進力を与えてくれたりもします。

でも、リーダーとして人を率いる局面において、このような「反応」ははたして適切なものなのでしょうか。

<「好ましくない現状」の裏にあるもの>

先ほど示した3つの事例についても「周囲から受け入れられ、自尊心や安心感を得る」という観点から見ると、うまくいかない現状を引き起こしている裏には、以下のような心の「反応」が起こっている可能性があります。

  • 部下を苦しませたくない
    部下から嫌われたくない
  • 自分の改革が正しかったので、引き続き、自分のグリップを効かせた組織でいたい
    自分の影響力を保っていたい
  • 社会や世界といった抽象度の高い論点から業務を語ることで、自分の知性と思考の深さを周囲に知らしめた
    →知恵のある人だと思われたい

このような心の「反応」は普段、自分ではなかなか認識できませんが、他者からはよく見えるものです。

良かれと思った行動が効果的に機能しないのは、このような心の「反応」が、周囲によからぬ影響を与えてしまっているのが原因かもしれません
これが「社会適応」の段階に居るリーダーのリーダーシップが効果的に機能しない原因です。

<まずは振り返り、ご自身の反応に気づくことから>

自分のリーダーシップがうまくいっていないと感じる場合、普段なにげなく行っている御自身の振る舞いを振り返るいいチャンスです。

あなたがリーダーとして普段取っている行動は、自分の自尊心や安心感を得るための「反応」なのか、はたまた何かを「創造」しようする「思い」や「願い」からの行動だったのかという振り返り。

もちろん、イチかゼロかで答えられるものではないですが、一度お風呂にでもつかりながらゆっくり内省する機会をお持ちいただくのも良いかもしれません。

効果的にリーダーシップを機能させるリーダーの成長ステージは「社会適応」の次の段階へと進んでいます。

 

 

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