自分の部署やチームは調和のとれたパーフェクトな状態ですか?
そんなことはないですよね。
組織で仕事をするときは、なにからしらの対立が起きたりするものです。
今回は、そんなときリーダーであるあなたができることがテーマになっています。
株式会社ウエイクアップ
CRRジャパン トレーナー/CLO 森川有理
CRR ジャパン トレーナー 佐藤扶由夫
「チームの中で対立が起きた時、リーダーにできること」
チームの中で「対立(コンフリクト)」が起きると、リーダーとしては正直焦りますよね。
ミーティングで違う意見を持った2人がヒートアップして収拾がつかない
あるプロジェクトに2つの部署から入れたメンバー同士が仕事のスタイルのすれ違いで雰囲気が悪くなっている
「めんどうなことになったな。なんとか収めて、先に進めるか」そう思うのも当然です。
しかし、「まぁ、とにかく落ち着いて」とか「大人なんだからうまくやってくれよ」などとりなしたり、いさめたりしたとしても一時的には静まるかもしれませんが対立の炎はくすぶり続けることでしょう。
既にお気づきと思いますが、たとえビジネス上のことであっても、こうしたケースの大半は「感情」が影響しています。
「大人なんだから、感情なんかコントロールして淡々と仕事するものだ」と思われた方、まずはご自身を振り返ってみて下さい。
これはいける!と思いを込めて提案したアイデアをチームメンバーに全く理解してもらえなかった時
プロジェクトでこの進め方が最適だとしか思えないのに別なやり方で推し進めようとするメンバーを見た時
何かしらザワザワと感情が湧いてきませんか?
それは憤りのような強い感情かもしれませんしあきらめのような内側に篭る感情かもしれません
もちろんビジネスパーソンとしては一定のセルフマネジメントは必要です
しかし、それが自分の大事にしていること、こだわり、哲学などに触れていればいるほど感情が動くのは人として当然のことです
そして、その感情を「無い」ことにして取り扱わなかったとしてもパフォーマンスになんらかの影響を及ぼすのは明らかです。
「あの人がいるミーティングではもう本音は言えない」
「あのメンバーに話してもどうせ理解してもらえない」
そんな思考が背後にあるチームでは生産性の高い議論や創造的な仕事は望めません。
では、冒頭のような対立の場面に遭遇した場合、リーダーとして何ができるのでしょうか?
万能薬となる解決法はないかもしれませんが、お勧めしたいのは
「対立しているメンバーの感情をリーダーが聴いてあげる」
ということです。
いわゆるネガティブとされる感情こそ、聴いてあげるのです。
例えば、ミーティングで二人のメンバーの間に対立がある場合場を変えて二人一緒に面談をし、それぞれの「感情」をリーダーに対して話してもらいます。
この時のポイントは2つあります。
1つは「意見」や「出来事」ではなく「感情」にフォーカスすること。当人たちはもちろん「意見」や「立場」を話したがると思いますが、
「二人ともこれから先一緒にやっていく上で欠かせない大事なチームメンバーなので、今日はまずそれぞれの気持ちを聴かせてほしい」
としっかり目的を伝えて、当人が「意見」を話し出した時にも
「なるほど。で、どんな気持ちでいるの?」
とか
「そうか。思いがあるプロジェクトだからこそ残念な気持ちなんだな」
といったように「感情」にフォーカスし続けてください。
もう1つのポイントは「リーダーに向かって1人1人ずつ短く話してもらう」です。
「感情」についてお互いに話させると間違いなくヒートアップするので話は必ずリーダーに向かって話してもらいます。そしてもう片方のメンバーには横で黙って聴いていてもらうのです。
対立している相手の「感情」を聴くのは聴く側からするとしんどい時間でもあります。そこで一人ずつは短く、ただし何回か繰り返し話させてあげることが大事です。
これを繰り返すことで圧力鍋の中の蒸気が少しずつ抜けていくように少しずつそれぞれの気持ちの圧力が落ち着いてきます。
このタイミングで二人に問いかけて下さい。
「今、対立している部分もある二人だけれどもこの問題を乗り越えて一緒にプロジェクトを成功させるのは何故大事なのかな?」
「感情」が落ち着いたからこそ自分の真のこだわり、価値観を見つめ直して取り組み方や関わり方を考え直すスペースが生まれてきます
「感情」、特に否定的な感情は無いことにするのではなくむしろしっかりと表現してもらう。
ただし、リーダーが受け皿になって安心安全な場を創ることでマネジメントする
リーダーにとってはタフなアプローチかもしれませんが感情的なしこりを長く引きずり、腫れ物に触るように扱ったり対立があるのに力技で強引に前に進めていったりした方がずっと多くの時間やエネルギーを割くことに結果的にはなるのではないでしょうか。
「感情」に向き合ってマネジメントするこれからのリーダーに求められる新たなコンピテンシーです