何が人の成長を後押しするのか?

部下の成長を後押しする上司のイメージ

ウエイクアップの上田晶子(あっちゃん)です。
Co-Activeコーチングの
実践と探求を積み重ねた先に、
プロフェッショナルレベルの
Co-Activeコーチになってゆくことを
目的とした上級コースでの
チームリーダーやスーパーバイザーも
担当しています。

上級コースでの複数のカリキュラムの一つに、
2週間に一度、チームメンバー全員で集い、
90分で実施する「グループコール」があります。

先日は、Co-Activeコーチングの
5つの資質の一つである
「行動と学習」に焦点を当てた回を
実施しました。

元々の英語は、
“Forward the Action
and Deepen the Learning”

行動を推し進め、学びを深める。

Co-Activeコーチは、この両輪を
常に意識し、創り出すことを意図して
相手との対話を重ねてゆく。

この資質は、シンプルですが、
Co-Activeの本質を土台とした、
とても奥行きのあるものです。

企業の方々に
Co-Activeの要素をお伝えする時、
“学びを深める”という切り口で、
行動と学習の資質のご紹介をする
場面があり、いつも思い出すのは、
新卒で入った会社でお世話になった、
二人目の上司のMさんのことです。

当時、海外旅行の営業手配業務の仕事を
していた私は、業務量が増える中で
トラブルやミスが頻発し、
その度に「問題報告書」に記入をして
上司に提出をしていました。
同期の中でも、問題報告書の提出枚数は
群を抜いていたと思います。

Mさんは、普段はとても寡黙で、
営業所の一番奥の所長席に座って
ひたすらパソコンの画面を眺めていて、
スタッフとのコミュニケーションを
ほぼ取らない人でした。

そんなMさんを、私は
なんだかとっつきづらい人だなと
感じていたのですが、そんな彼の存在感を
ぐっと感じる瞬間がありました。

それが「問題報告書」を提出した時です。

以前の上司は、提出して終わりだったのが、
Mさんは私が記入した問題報告書を
しげしげと眺め、
「もうちょっと考えてみて」と、
決まって再提出のリクエストをするのです。

しかも、一度ならず、
彼が納得して受け取るまで、
何往復もこの作業を繰り返すのです。

当時の私は、
「もうちょっと考えてみて」と
リクエストされる度に、
めんどくさいなあ、と感じながらも、
業務のプロセスをたどりながら、

その時に自分の状態がどうだったのか、
お客様の反応がどうだったか、
何が問題だったのか、
どんな影響があったのか、
私は何に気がつく必要があるのか、
次はどうしたらいいのか、
脳に汗をかきながら考え、
言葉にしていました。

問題報告書を提出する度に、
彼が受け取るのか受け取らないか、
ドキドキしながらその反応を待ち、
「OK」という一言が返ってくると、
ほっとしたのを今でも覚えています。

そしてふと、
いつもは無表情なMさんの表情が、
その時だけ
一瞬柔らかくなったその瞬間のことも、
今、思い出しています。

その後Mさんは、半年ほどで
他の営業所に異動されたのですが、
彼の送別会の後の帰り道、
ふと気づいたことがあります。それは、

「この半年間で、私のミスが圧倒的に少なくなった」

ということです。

そして、彼が何度も
「もうちょっと考えてみて」と
リクエストしてきたその積み重ねが、
私の仕事のやり方と、
仕事への向き合い方に
大きな影響を与えていたのだと気づき、
感謝の気持ちが溢れてきました。

その後、
Co-Activeコーチングを学ぶ中で、
Mさんは、起きた問題から私自身が
必要なことに気づき、学び、
次につなげてゆくこと、
私の“Deepen the Learning”
後押ししてくれていたのと気づきました。

そして、振り返ってみると、
Mさんとご一緒したあの半年間が、
仕事人としての私の土台を作り、
成長を後押ししてくれたのだと
明確にわかります。

コーチングのコースの中でも
企業での研修の中でも、
行動を振り返り、学びを深める場面で
ご紹介する“問い”の中に、
こんな問いがあります。

  • 何に気づきましたか?
  • 何を学びましたか?
  • もう一度やるとしたらどうしますか?

これらの問いは、
この経験や結果を通して、

“あなた自身が何を学んだのか?”
“あなた自身が何に気がついたのか?”

に焦点を当てた問いです。
そして、この問いには、
人は自ら気づき、学び、それらを使って
自ら成長してゆく力を持っている

という前提があります。

これらの問いは、
シンプルかつパワフルに、
人の成長を後押しする力があります。
みなさんの持ち場で、
ぜひ活用してみてください。

追伸:
小学校1年生の長男の初めての夏休みが
もうすぐ終わろうしています。
たくさんの新しい経験をした彼にも、
これらの問いを聞いてみたいと思います。

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