ウエイクアップの山田希です。
つい先日、親族での集まりがありました。
コロナもありましたので、会うのは
久しぶりです。
なつかしさに話が盛り上がる中、
二つ隣のテーブルに座った父が
酔った勢いで何やら面白おかしく
話している声が聞こえました。
耳を傾けてみると、なんと
自分のパスワードの付け方について
話しているではありませんか。
元々地声が大きく、さらに
耳が悪くなってきたため
近頃さらに声の大きくなった父。
同席していたほぼ全員が
彼の付けたパスワードについて
完璧な理解に至ったことは
間違いありません。
慌てて私は彼に小声で注意を促し、
帰宅したら念のためパスワードを
変更するよう提言したのでした。
さて、パスワードはもともと
合言葉と言われ、
自らの陣地に敵を入れないため、
味方を認証するためのものです。
例えば「山」「川」など、
味方同士でしか分からないコードや
単語の組み合わせなどを通じて、お互いに
相手が信頼できる人物であるかどうか
という確認をやり取りするわけです。
まさに門番としての役割を果たすパスワード。
「山」「川」時代からはるかに進化を遂げ、
昨今は数字や文字、記号の組み合わせ
といった言葉の羅列から、
パスワードレスと言われる指紋や
虹彩といったバイオメトリクス認証まで
及んでいます。
山と言えば、、、
と類推して当たることがあった
かもしれない昔より、門を突破するのは
各段に難しくなったように思います。
しかし自分にとって意味のない
言葉の羅列は覚えがたく、さらに
バイオメトリクス認証は
何をもって自分だと認識されているのか、
認証されている自分が良く分かりません。
寝起きの顔で顔認証に拒絶された
こともあれば、手荒れで指紋認証が
機能しないこともありました。
門を突破する以前に、
突破する鍵となるそのものが個人にとって
理解も記憶もしがたいものに変質しています。
安全は高まったのかもしれませんが、
安心が比例しているのかどうか、
いまいち実感値がありません。
かといって、「開けゴマ!」のように
知恵を絞ってひねり出すことができる
ようなパスワードに戻るというのも、
ロマンはあるかもしれませんが、
場合によっては不適切かもしれません。
どのような門番を選ぶのであれ、
招かれざる客はどこにでもいるもの。
これからもしばらくは新たな進化を遂げ、
増え続ける認証方法と付き合って
いくことになりそうです。