
こんにちは。組織変容コーチの川添香です。
私たち組織変容コーチはチームの関係性を扱いますが、その知恵がパーソナルコーチングでも生きた事例をお話しします。事例はクライアントから承諾をいただいて公開しています。
Aさんは、新しく任されたチームのマネジメントで困っていました。
というのも、チームのベテランのTさんと中途入社のYさんの関係性がどうもよくないのです。「どうも」というのは、表立った衝突や対立は見られないものの、明らかな冷たい空気が二人の間にあり、ミーティングではそっぽを向き、業務連携も最低限なのです。1on1で個別に話を聴いてもどちらも「問題ありません」と言うばかり。
Aさんの心配は二人のギクシャクした関係がチーム全体に影響を及ぼし始めていることです。チームにも二人を気にする空気が生まれ、コミュニケーションの活気が失われているとのこと。毎回ミーティングが重いんですよ……と、途方に暮れている様子でした。
職場の人間関係の対立には二つのタイプがあります。人間関係上で生じる感情的な対立の「関係対立」と職務や課題に関しての意見の対立である「課題対立」です。課題対立はプラスに働くことも多く、生産的対立と呼ばれたりもします。
このタイプ分け、見事に区別できたらよいのですが、私たちはそう単純ではありません。課題対立のつもりで出した意見が相手には人格否定と受け取られることも少なくありません。つまり、課題対立が関係対立としてこじれた場合、時がたっても引きずってしまうことが少なくないということなのです。
ここで私たちができるのは、課題対立において人格否定をしない、人格否定と受け取らないという意識を持つこと。それですべてが解決できるわけではありませんが、無用な関係対立を生まない一つの要因となりえます。
そんな話をコーチングの中でしながら、Aさんにシステムコーチング®の知恵の一つ「四毒素」を紹介しました。
システムコーチング®では、人間関係を蝕む毒素として「非難・防御・侮辱・逃避」を挙げています。お話を聴くとTさんとYさんは関係性に向き合わず「逃避」の状態が続いている様子です。
関係性の問題について、その状態に名前が付くことによって扱いやすくなることがよくあります。Aさんは、「逃避」の状態とわかったことで、まずはもう一度個別に向き合い、どのようにしたいのか聴いてみるという答えを出しました。また打ちのめされて帰ってくるかもしれませんが……と、少し苦笑いを含めて。
チーム内で起きた小さな火種は気づかれることなく静かにチーム全体に影響を及ぼしていくことがあります。
Aさんは、TさんとYさんの静かな亀裂を見抜いて火種のありかを見つけましたが、もはや原因がなんであるかわからずにチーム全体の空気がよどんでいることも多くあります。そういったご相談を組織変容チームで承ることもあります。
プロのサポートが必要となったときにはウエイクアップ組織変容チームに一度ご相談ください。
四毒素をワークとして行うことも可能です。
※四毒素の出典:ジョン・ゴッドマン『結婚生活を成功させる7つの原則』
※システムコーチング®はCRR Global Japanが所有する登録商標です。
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