パーマンの逆襲

紙とペン

ウエイクアップの山田希です。

何歳だったか忘れましたが、ある誕生日に当時流行っていた「パーマン」というアニメキャラのマスク(ヘルメット)とマントの変身セットを買ってもらいました。

しかし見るのと着るのは違うもの。セット一式を身に付けたのですが、思い描いていたような心浮き立つような気持ちになることはなく、幼心にも「これ、外で付けて歩いたら、浮くな」ということが分かりました。果たして、気後れした私はほぼ装着せずにお蔵入りとなり、その後のプレゼントはもうちょっと無難なものを選ぶようになりました。

わたしは昔からいわゆるオペレーション的なものを担うことが多く、ボランティアやサークル活動的な団体に加わっても、なぜか「総務」「ロジ」など裏方全般を担うことがほとんどでした。結局今も管理部門やオペレーション機能を回す仕事についているわけですから、そういう性分なのかもしれません。

しかしこの仕事を説明する際には、「事務」「運営」などなど、どうしても地味な言葉になります。カタカナにして「オペレーション」「アドミニストレーション」と言ったところで中身は変わらない。
世の中的にも営業や企画といった仕事に比べると、年収水準も何となく低いようだし、「だれでもできる」「代わりがきく」と言われ、AIによって無くなる仕事というと一番に挙げられる。
個性を大事に、わたしらしい仕事をしたいと願う若者には、なかなか刺さりそうにありません。

しかし昨今の事務仕事はなかなか大変です。パソコンやIT機器だけでなく、相手によってさまざまな仕様や構成になっているシステムやアプリに対応。相手が日本人だと思っていたら外資系だったらしく、いきなり英語でフォームを提出しろと言われる。それが税金や法律関連であることも多く、ググったり翻訳アプリを使いながら解読する。

さまざまなやり取りには当然機密情報保持や個人情報保護、ハラスメントやD&I、情報セキュリティを常に留意しながら行い、AIだってそれなりに使いこなしながらやらなくてはならない。ここに内外問わず顧客対応などの感情労働まで加わったりします。

一つひとつは「代わりがきく」「ローテクな」仕事かもしれませんが、それを総合して、その場の環境や状況に合わせて対応できることは、なかなかの才能と資質を要することではないかと思うのです。

もしかしたら予言どおり、あっという間に無くなってしまうのかもしれませんが、いやいや、パピルスが誕生して以降綿々と続いてきた仕事が簡単に消えるだろうか? と嘯きつつ、パーマンの変身セットがなくとも、われわれは既に生身でパーマンなんだ! と叫びたくなる、うららかな初夏の午後です。