
「カオスを超えて、本質へ」をパーパスに掲げるウエイクアップの平田淳二です。
突然ですが、このような質問を受けたことはありますか?
「あなたが一番大切にしたいことは何ですか?」
一見すると、この問いはシンプルです。けれども、本当の答えを見つけるには、少し立ち止まって自分自身に向き合う時間が必要かもしれません。実は、最近この問いを深く考えざるを得ない経験をしました。それは、入院生活の中での気づきによるものです。
4月19日から23日まで、鼻の手術のために短期間ではありますが入院していました。
人生初の全身麻酔、それに続く術後の身体的な不自由。右手には医療機器、左手には点滴が繋がれ、鼻呼吸はできず口呼吸のみに頼る生活。眠ることも難しく、絶食と流動食による空腹感、腰痛、身体全体の自由がなくなっていく感覚です。
その不自由な日々の中で、私が強く願ったのは「鼻呼吸ができるようになりたい」という、ただそれだけのことでした。実際のところ鼻呼吸ができないため、2日間眠れませんでした。
手術の目的は鼻呼吸の改善だったのですが、術後しばらくは鼻呼吸ができない状態に陥りました。このジレンマによって、「呼吸」というものがどれほど特別で大切なものだったのかに気づくことになりました。呼吸は生きるための基盤であり、「今、この瞬間」に自分がいることを感じさせてくれるものなのです。
けれども、この「呼吸」という気づきから、「ただ生きる」だけではなく、「豊かに生きる」ということについて考え始めたのです。(時間だけは結構あったので)
私たちは、ただ生存するだけではありません。つながりを感じ、喜びを体験し、選択をしながら生きています。家族や仲間との関係性、自分自身の価値観や生きがい。それらが揃って初めて、人生は「豊かさ」へと進化していくのだと実感しました。
この経験から、私は改めてコーチングの拡大質問の力を思い出しました。
例えば、こんな問いです。
「あなたが一番大切にしたいことは何ですか?」
この質問は、価値観や人生の目的を言葉にする手助けとなります。シンプルですが、パワフルです。
けれども、この問いを効果的に使うためには、自分自身の言葉として自然に馴染ませることが必要だと私は感じています。
私はコーチングを学ぶ人たちに、「質問を自分のものにする」プロセスとして音読をおすすめしています。何度も声に出し、問いが身体に染み込むまで繰り返す。このプロセスによって、ただの言葉だった質問が自然なものとなり、相手に響くものに変化していきます。
今回の入院生活を通じて、「呼吸」という小さくて大事なものに気づけたこと。それが私にとって、大きな発見でした。呼吸を意識することで初めて、「今、自分が生きている」という実感を持つことができ、それは「生きること」そのものや、そこから「豊かさ」というテーマへと広がっていきました。
もしかすると、あなたの中にも、そんな「今、気づくべきこと」が眠っているかもしれません。
それを探り、見つけていくことが、豊かな人生への道筋ではないかと思います。