お寒いのがお好き

PCとサーキュレーター

ウエイクアップの山田希です。

この春、姪が大学に進学しました。
下宿に遊びに行かせてもらったのですが、鉄筋コンクリート造りの美しく快適な建物に隔世の感を感じました。わたしが大学の時に住んでいた場所は、畳と土壁仕様の、窓枠は木製という風呂無し2階建て木造アパート。外部環境と共に呼吸をしているような家といえば聞こえはいいのですが、常に隙間風が吹き込む家でした。

おかげで一酸化炭素中毒にはなりませんでしたが、冷暖房が効かず、時として外気温とほぼ変わらない状態でした。引っ越しを手伝いに来た母が、寝泊り用に寝袋を持参したにもかかわらず、結局泊まらず早々に帰ったほどです(その後、二度と泊まりに来ませんでした)。よくあの環境で4年間頑張ったな、と思います。

しかしそんな環境で頑張れたのも今は昔。わたしが年齢を重ねたということもありますが、昨今は電子機器無しには仕事も娯楽も成り立ちません。電子機器は適応可能な温度帯が人間よりも狭く、どちらかといえば暑さに弱い。衣服の脱ぎ着や運動で温度調節といったこともできないため、わたし以上に、彼らのための環境をそれなりに整えてあげる必要があります。

わたしも冷房が得意ではなく、酷暑が続く近年は別として、なるべく冷房を入れずに毎夏過ごしてきましたが、昨今はわたしより電子機器が先に音を上げます。気づいたらノートPCのファンがものすごい音で唸っていたり、Wi-Fiのルーターが膨張していたりしたため、慌てて冷房を入れることも何度かありました。

企業には安全配慮義務として、労働者の就業環境を整える義務もあります。
今や業務に不可欠となった電子機器のニーズを満たせば一定の温度湿度が保たれた環境が望ましいのでしょうが、しかし労働者の健康を考えれば、ある程度季節の移り変わりに対応した変化ある環境の方が本当は望ましいのではないか、と思うこともあります。自律神経がしっかりと働く状態であれば、心身のウェルビーイングの土台が整うことにもなるでしょう。

環境や人への配慮等から弱冷暖房が主流になりつつあり、かつビルやオフィスの空調も格段に進化したとはいえ、完全に人間の身体のニーズに合わせることは、やはり難しい。
いずれ電子機器専用クーラーボックスでも出てこないかな……と妄想を膨らませつつ、今年は何月くらいから冷房を使い始めるだろうかと頭を巡らす4月の午後です。