「リジェネラティブ・リーダーシップ」が目覚めるコーチング

「カオスを超えて、本質へ」
ウエイクアップの小西勝巳です。

「人も自然も犠牲にしないビジネスと組織をどう実現するか?」

帯に書かれたこんなメッセージに響いて、この本『リジェネラティブ・リーダーシップ』(英治出版 [2025/1/22])を手に取った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

私も、冒頭の言葉に加えて「機械から生命システムへ」「再生と創発」「生命力」など、個人的なビジョンとも重なるところが多く、クラウドファンディングで支援して本が届いてすぐ読み始め、最近読了しました。

読んでみて、「リジェネラティブ・リーダーシップ」にはウエイクアップで提供している各種コーチングが非常に役立ちそうだ!と感じたので、個人的な備忘も兼ねて(笑)ポイントを挙げてみます。

まずは「リジェネラティブ」という言葉について。
「リジェネレーション Regeneration」は日本語では(地球環境や生態系の)「再生」が当てられますが、自分とは切り離された外部のものを操作して再生する、というニュアンスで捉えてしまうと、これまでの機械論パラダイムと何ら変わりません。むしろ「地獄への道は善意で舗装されている」という言葉が脳裏をよぎるくらいです。そうではなく、自分の内面も含めた全体としての地球環境や生態系の再生(well-beingも近いかも)というニュアンスだと理解しています。かつてのイリヤ・プリゴジン博士の言葉(注)、「人間は自然から分かれて、なおかつ自然の一部である」というスタンスです。

その上で、この本はこんな課題意識からスタートします。

  • 現在のベースとなっている機械論パラダイム、すなわち自然や組織、下手をすると人間も「機械」のようなものと見做して操作、コントロールしようとするやり方が地球規模での危機/人々の内面の危機・ストレス過多を招き、限界に来ている
  • 「生命を育む新たな世界観を今こそ、呼び覚ますとき…生命の繁栄に貢献するという自然界の原則に基づいた生き方やリーダーシップをデザインしていくことが、この時代を生きる私たちの使命」
    (本書p91より抜粋)

そして自然の叡智や生命の論理に根差し、複雑化するビジネスや組織運営に自然の叡智を活かしてくための新たな原則とリーダーシップ・モデル(下記)が提示されています。

1.ロジック・オブ・ライフ:自然界から学ぶ7つの原則
1)生命指向性
2)絶え間ない変化と応答
3)関係性と協働
4)多様性とシナジー
5)周期とリズム
6)エネルギーと物質の流れ
7)生命システムフィールド

2. リジェネラティブ・リーダーシップのDNAモデル
このモデルはDNAの二重螺旋構造を模しており、二重螺旋の2本の紐で2つのダイナミクス(力学、動き)を表し、その間に3つの実践領域が示されています。

<2つのダイナミクス>
1)ライフ・ダイナミクス
(発散/収束/創発)
2)リーダーシップ・ダイナミクス
(自己の内面への自覚性/取り巻くシステムへの自覚性/リジェネラティブ・リーダーシップの意識)

<3つの実践領域>
1)生命システムデザイン
2)生命システムカルチャー
3)生命システムビーイング

お気づきの方もいると思いますが、ここまで見てくるとウエイクアップが提供しているコーチング、すなわち

  • 人に焦点を当て、一人ひとりのBeing /あり方を大事にし、そこからのDoing /実践を促すCo-Active®コーチング
  • チームや組織の関係性に焦点を当て、それを「生き物のようなシステム」として自覚し、新たなカルチャー醸成と行動を促すシステムコーチング®
  • 上記に加え、成人発達理論やシステム思考なども組み合わせた組織変容®のオーダーメイドのソリューション

は、リジェネラティブ・リーダーシップを発揮していく上で極めて高い親和性と実践的なノウハウでお役に立てそうです。

私もまだ完全に理解できているわけではないですが、「自然界に学び、生命を育む新たな世界観とそれを実現するリーダーシップ」の可能性を考えただけでもワクワクします。同時に、既にビジネスを通して地球環境の持続可能性や幸せ/well-beingに関する取り組みをされている企業様とは、『リジェネラティブ』という名称ではないものの、部分的にそのサポートをさせていただいている実感もあります。


「人も自然も犠牲にしないビジネスと組織をどう実現するか?」

この問いに対し、「リジェネラティブ・リーダーシップ」をキーワードに対話してみたいという方、具体的に自組織で小さなゆらぎを起こしてみたい方…そんな方はぜひ気軽にお声がけください。
一緒に新たなパラダイムを探求し、実践していきましょう。


(注および補足)

『リジェネラティブ・リーダーシップ』で生命論パラダイムに興味を持たれた方には、以下の本もおすすめです。
私がまだ社会人になって間もない頃…散逸構造理論やカオス理論などをベースにした組織・社会の自己組織化による変革の可能性について悶々としていた頃…そんな時、目を覚させてくれた本。ある意味、私を今ここまで導いてくれた本といっても過言ではありません。

『生命論パラダイムの時代』
(ダイヤモンド社[1993/10/1])

散逸構造理論によるノーベル化学賞受賞者、イリヤ・プリゴジン博士を日本に招き、田坂広志氏をはじめとした有識者によるシンポジウムを開催した際の内容がメインです。上記のプリゴジン博士の言葉もこの中で語られています。

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「パーパス経営を本物にするコーチングの力」の第3回を3月26日(水)に開催します。


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