
「カオスを超えて、本質へ」をパーパスに掲げるウエイクアップの平田淳二です。
3月14日から2025年のF1が、オーストラリアからスタートします。
Netflixでも同じみのオーストラリアの人気ドライバーのリカルドが引退しましたが、同じオーストラリア人のジャックドゥーハンが新たにアルピーヌに加わったので、オーストラリアグランプリも盛り上がることでしょう。私は以前ジャックの父の2輪レーサーのミックドゥーハンのレースをよく見ていましたので、ジャックのF1デビュー(正式には昨年の最後のレース)には感慨深いものがあります。
F1の0.001秒を争う競技の裏側には、ドライバーだけでなく、何百人ものチームスタッフ、エンジニア、データアナリストが存在し、常に「勝利」を追求しています。
実は、このF1の戦略と、私たちが日常で向き合う「コーチング」の本質は驚くほど似ていると私は感じます。
さて、なぜ唐突にF1の世界を書いているかというと、私がF1マニアだからです。
また、私は職業柄、すべてのことをコーチングで考えるクセがあります。
そして、F1がシーズンオフだった冬の間にいろいろと考えた結果、F1とコーチングには以下のような関係性があると考えたので、よかったら読んでみてください。
1.「パルクフェルメ」とコーチングの礎
F1には「パルクフェルメ規定」というものがあります。予選後から決勝レース直前まで、車両への大幅な変更は許されません。このルールの中で、ドライバーは自分自身のスキルとマシンを信じ、戦う必要があるんです。
これは、コーチングの「NCRW」(人はもともと創造力と才知にあふれ、欠けるところのない存在である)という考え方に似ていると思います。クライアントは自分の中にすでに多くのリソースを持っています。
私たちコーチは、それを引き出す存在です。F1でマシンの設定を変えられないのと同じように、コーチも「アドバイス」ではなく「内側からの答え」を引き出すのです。
2.「デブリーフィング」は内省タイム
レース後、ドライバーとチームは「デブリーフィング」を行います。ここではラップごとのデータ、タイヤの摩耗、ブレーキングポイント、エンジンマッピングまで、細かく分析されます。
このプロセスは、コーチングの「内省」に似ています。特に大事なのは、「失敗」や「うまくいかなかったこと」に正直に向き合う姿勢です。ドライバーたちはサボタージュの声に支配されることなく、事実を冷静に分析します。
ポイントは、「うまくいかなかった」=「自分がダメ」という発想に陥らないこと。これは私たちの日常でも活かせます。
3.「ERSシステム」は意識と無意識のハイブリッド
F1の現代マシンには、エネルギー回生システム(ERS)が搭載されています。これはブレーキ時のエネルギーを回収して、必要なときに再利用する仕組みです。
実は、コーチングでも「ネガティブな経験」や「失敗」こそが、成長のエネルギー源になるのです。自分が落ち込んだ瞬間、悩んだ経験は、未来の自分にとって“再利用可能なエネルギー”です。ERSのように、適切なタイミングで放出すれば、大きな加速力を得られます。
4.ピットストップ(ボックス):立ち止まる勇気
F1のピットストップは2秒台で終わる高速作業です。でも、ただ速いだけでは意味がありません。タイヤの摩耗具合やレース展開を見極め、最適なタイミングでピットに入る戦略が重要です。ボックスに入るタイミングやステイアウトするかで大きく順位が変動します。
これは、人生における「立ち止まる勇気」そのものです。
私たちは、忙しさに流されがちです。しかし、一度立ち止まって自分を見つめ直すことで、再び加速する力を得ることができます。コーチングのセッションは、まさにこの「ピットイン」の時間です。焦らず、深呼吸してみるだけで、見える景色が変わるのです。
5.サボタージュは心のグラベル
F1で恐れられているものの一つに、コース外のグラベル(砂利地帯)があります。
一度ハマると、抜け出すのが難しいのですが、その恐怖に負けずにドライバーは「限界ギリギリ」を攻め続けます。
私たちも同じです。自己否定や不安という「心のグラベル」に足を取られることがあります。でも、コーチングは「その場所から抜け出す」サポートではなく、「その経験をどう活かすか」を考える場です。
むしろ、グラベルにハマった経験こそが、次のレースでの糧になるのです。
F1も、人生も「加速するために立ち止まる」ことがあります。
F1ドライバーは、レースの途中であえて減速したり、ピットインしたりします。それは、最終的に勝つための戦略的な選択です。
私たちの人生も同じで、常に全力で走る必要はなく、時には立ち止まり、自分を見つめ直すことが、次のステージに向かう“最速ルート”になるのです。
あなたが今、立ち止まって見直すべき“ピットイン”の瞬間は、どこにありますか?
P.S.
私はF1が始まる週は、3回あるフリー走行から予選、決勝までほとんど見ています。
また、フリー走行や予選では、ミニセクターのタイムの色分け(ファステストは紫、自己最高は緑、それ以外は黄色)までウォッチしながら見ています。
画面で言うと、1つは全体の画面、1つは推しドライバー(角田選手)のモニター(声もあり)、1つはミニセクターと3つの画面を同時に見ながらF1を観戦しているので、F1ウィークはなかなか忙しいです。
ぜひ、最近のF1好きな人との対話会とかやってみたいです。