こんにちは、
ウエイクアップの「いろり」こと
青木聡美です。
近年は、Co-Activeコーチング、
リーダーシップ・プログラム、
CLEといったコースで
体験学習を提供しています。
また、社内研究プロジェクトでは、
「身体知性」をコーチングの範疇を超えて
リーダーシップの文脈でも
さらに活用いただけるよう
チームメンバーと探求しています。
さて、今日ご紹介したい
「もうひとつの時計」の物語は、
何を言っているかわからない、あるいは、
とってもピンとくるなど、受け止め方は
人によって様々だと思います。
もしピンときて、日常の様々な判断基準の
一助として活用いただけたら嬉しいと思い
私のリアルな体験とその後の考察を
共有させてください。
イメージを膨らませながら読み進めて
いただければ幸いです。
これは、人生で流れているもうひとつの
時間の流れを計る「もうひとつの時計」の
物語です。
1990年当時、マッキンゼーの東京支社長の
アシスタントをしていた私は、
当時日比谷公園を見下ろす
内幸町のオフィスで働いていました。
ある日の緊急招集されたミーティングが
始まる少し前に、チームメンバーの
ビジネスアナリスト(BA)と雑談をする中で
「(スケジューリングをする際に)
なぜ、それぞれのミーティングが
どのタイミングで行われるべきか
分かるのですか?」
と問われて(今風に)「はて?」と
思ったのを覚えています。
私にとっては日常のことだったので、
彼の質問の真意が汲み取れませんでした。
マッキンゼーで13年以上、
ともに仕事をしたYYさんというパートナーは、
彼のスケジュールの全てを私に任せる
働き方をしていました。
それは、自分の人生の時間を
何にどう使うかの判断を私に
委ねることを意味します。
当時のミーティングの種類は、
クライアント先で行なわれる
トップエグゼクティブや
チームとのプレゼンテーションを含む
ミーティングに始まり、社内で行なわれる
クライアント関連のもの、
グローバルな研究課題、人事・総務関連
など、ミーティングの多さは
凄まじいものがありました。
通常クライアント関連のチームは、
パートナー、コンサルタント、アナリスト
といった4−5人のメンバーで編成されていました。
また、ひとりのパートナーは、常に
4−5個のクライアントチームに関わっており、
グローバルなワンファームの
精神も生きていた当時、
社内のミーティングも多数あり、
東京支社長としては、
ミーティングによっては社内の要件を
最優先にする必要もありました。
これは入社2年目の
アシスタントにとっては大きな責任です。
最初は、逐一それでよいかどうかの
確認をしながら進めていましたが、
その確認をする時間も
徐々に難しくなってきました。
それ以降、自分なりに察知できる
情報を駆使して、ミーティングの
緊急性と重要性を判断しながら
スケジューリングをしていた時期の
先ほどの問いでした。
「なぜ、それぞれのミーティングが
どのタイミングで行われるべきか
分かるのですか?」
さて、そのBAに問われた問いを今考えると、
ひとつの仮説が浮かび上がります。
あるミーティングを設定する際に、
単純に関係者の時間を調整して
成立させることと同時に、もうひとつ
常に意識していた判断基準があった
ように思います。
それは、そのミーティングが、
クライアントの状況やチームメンバー、
グローバルなマッキンゼーの流れの
どのタイミングにあるかということです。
それによって重要度が変わるからです。
状況は、風が吹くように変化するので、
それはまるで、
随時アップデートされている
「もうひとつの時計」を持っているような
ものです。
各チームは自分のミーティングを最優先に
することを要請しますが、YYさんの時間の
ベストな活用に向けて、私は
「もうひとつの時計」を持っていました。
例えば、そのミーティングは、
その案件の流れが始まる前なのか、
始まったばかりなのか、
クライマックスなのか、
終盤、あるいは終了後なのか、また
より大きな流れの中での
そのミーティングの位置付けは
どのようなものなのか。
結果、その瞬間のそのミーティングの
重要度が見えてくるのです。
ありがたいことに、13年の間、YYさんは、
1週間に2度のNY出張を入れた時以外は、
異議を唱えることは一度もありませんでした。
では、ここからみなさんの日常に
目を移してみましょう。
今日は、○○時から1時間のミーティングが
あるとしましょう。
「もうひとつの時計」で、
そのミーティングの位置付けを捉えると
何か異なる情報が見えてくるでしょうか?
思い浮かべてみてください。
世界共通の「時計」が刻む時間とは別に、
人生では、もっとたおやかに、
目には見えないけれど
確かに流れている時の流れと
その流れを感じる「もうひとつの時計」が
存在していることを。
遂行する「ことがら」だけに
夢中になる代わりに、
折に触れこの「もうひとつの時計」で
人生の時間の流れを測ってみては
どうでしょうか。
これは、「もうひとつの時計」の物語の
最初の扉を開く機会だと思っています。
今後も機会があれば、更に
対話が進められたらと思っています。
『自分の人生の時間を
何にどう使うかの判断』の
一助になれば幸いです。