ウエイクアップの小西勝巳です。
今日はウエイクアップのメンバーが
持ち回りで書いている
「パーパスと私」がテーマです。
■「カオスは、希望だ」
初めてカオス理論や複雑性の科学に
触れた大学生の頃(今から30年以上も
前になりますね苦笑…)、
そう感じたことを覚えています。
ここで言う「カオス」は、単に
メチャクチャで無秩序、ランダムで
確率でしか捉えられないものではなく、
- 決定論的(方程式で表せるような
法則がある)でありながら、 - 初期値に超敏感…最初の状態が
ほんの少し違うだけで、その方程式の
答えが全く違うものになり予測不能 - そうは言っても、その方程式から
導かれる様々な答えが発散してしまう
わけではなく、ある境界の中に収まる
そんな性質があるものです。
特に初期値鋭敏性…「バタフライ効果」
としても知られるようになったこの特徴
には、とても勇気づけられました。
「自分の小さな行動の違いが、
これからの人生を大きく変えるとしたら?
世界に大きく影響を与えるとしたら?」
カオス現象を発見した数学者・気象学者
E.ローレンツの方程式が描く蝶のような
美しい軌道を見ながら感じた希望・
ワクワク感はまさに目から鱗が落ちる
体験でした。
(参考)ローレンツ方程式
https://ja.wikipedia.org/wiki/ローレンツ方程式
■私自身の体験から
この「カオス」、その中に身を置く
当事者としては結構大変です。
なんと言っても「混沌」ですし
「予測不能」なので(苦笑)。
でも、だからこそその先に…もしくは
その中から…少しの意識・行動の
変化によって新しい秩序/世界線が
浮かび上がってきた時、
希望を感じるのだと思います。
これをコーチングやウエイクアップの
「パーパス」の文脈に引きつけて
表現してみると、
- 人や組織は元々、意識的/無意識的を
問わず「人生の目的」や「チームの使命」
のようなシンプルな法則に沿って、
環境変化の中で時には七転八倒しながら
カオスの中を歩んでいる
- その歩みの中、(コーチングの関わり
などによって)ほんの少し意識と行動が
変わることで、その後の展開が事前には
予測できないほど大きく変化していく
- そして大きく変化はしても、それは
「人生の目的」や「チームの使命」に
関連する文脈/コンテクストの中に
(事前に予測はできなくとも結果的に)
収まっている。人も組織も、
それまでとは別の世界線を生き始める。
- カオスの先に新しく立ち現れる秩序/
世界線を「本質」とすると、本質は
一つではない。また一度そこに
辿り着いたら終わりでもなく、
次の新たな「本質」に向かって歩み続ける。
こんな感じでしょうか。
もう少し具体的に私自身の体験から挙げてみると…
- 個人としては、例えば、転職を決めた時。
期待とともに漠然とした不安や
「本当にやっていけるだろうか…」
という怖さもあり、もやもやした時間を
かなり過ごしました。
しかし、自分の「人生の目的」である
「分断の奥底の愛を繋ぐ“愛のDJ”」を
もっと広く試してみよう
という疼きに身を委ね、
思い切って飛び込んだことで、
新しい世界が開けてきました。
- コーチングでの関わりの中では、
(守秘義務があるので詳細は割愛しますが)、
組織変容のチームセッションの中での出来事。
私自身は「愛のDJ」として(笑)
コーチングを進める中、メンバーの
様々な意見がぶつかり合い、時には
険悪な雰囲気になることも。
それでも一人ひとりの想い・願いを
聴き合いながら向き合ったチームが、
とあるタイミングで全員が共有できる
「使命」を握れたことがありました。
メンバー全員が「あー、これだね!」と
腹落ちした瞬間でした。
ポイントとしては、もやもやしたり
対立したり、更にはぶつかり合ったり
ということを避けていては
本質に辿り着けないということです。
カオスの状態を十分に味わってこそ、
その先の本質が浮かび上がってくる、
そんな気がしています。
それをサポートするのがコーチングの
意義だとも感じます。
■カオスの縁(Edge of chaos)の先へ
「カオスの状態を十分に味わってこそ、
その先の本質が浮かび上がってくる」…
これは「カオスの縁」を想起させます。
「カオスの縁」は、人工生命(Artificial
Life)の研究などから出てきた仮説です。
秩序とカオスの境目あたりにある複雑性
が最大になるような領域で、そこでは
自己組織化や生物の進化が最も進行
しやすいのではないか/生命現象も
そこから生まれたのではないか、という
考え方です。
人や組織も…「カオスの縁」にステイして
カオスを十分に味わい、「対話」という
相互作用を重ねることで、その先に予測
不能な新しい世界が立ち現れてくる…
そう考えるとその無限の可能性に、
個人的にはとてもワクワクしてきます。
「カオスを超えて、本質へ」
このパーパスを握りながら、
色々なお客さまとカオスの縁の先の世界を
見ていきたいと思います。