疲弊するマネジャーと「体育会イノベーション」

ウエイクアップの小西勝巳です。

■疲弊するマネジャー

組織変容®コーチとして、色々な
お客さま組織へのシステムコーチング®
やワークショップ、さらには
エグゼクティブへのコーアクティブ・
コーチング®で関わらせて
いただく中で、よく感じるのが、
「疲弊するマネジャー」です。

ずっとプレーヤーとして成果を出す
ことに注力してきた中、急に部下ができて
戸惑いを覚えつつ、増える一方の業務に
ヘトヘトになっている様子が伝わってきます。

例えば・・・
・働き方改革で残業できない部下の
仕事を引き取ってやらざるを得ない

・コロナ禍の中、リモートワーク中心
になり「顔出し」してくれない部下を
マネジメントしないといけない

・コンプライアンス強化の流れの中で、
承認作業や手続き作業も増加

・資本市場から様々な新しい情報開示が
求められる中、データ作成や
アンケートへの回答なども増加

・これまでやったことがない
「自由な発想で●億円規模の新規
ビジネス創出を」と求められる

・成果責任の重さは増える一方、権限は…
以前からの上司と「セット」で上に
スライドしただけなので、どうしても
お伺いを立てざるを得ない

・しかも(深夜や休日は除き)
残業代が出なくなるので、下手すると
管理職になる前と比べて年収が下がる

・年代的に子育て真っ只中なことも多く、
親世代の介護問題も出始める

「罰ゲーム」とまで言われるようになった
管理職。若手からは
「管理職にはなりたくない」という声が
増えているという話を聞くことも
珍しくありません。

■前提の考え方の転換が必要?

ワークショップやシステムコーチングで、
時には生の声で、また時には
それらを構造化・可視化した
全体像のマップを描いていく中で
こうした状況に直面すると、
参加者の中からも「何かがおかしい」
「このままでは組織能力が低下してしまう」
という危機感が噴出してきます。
私自身の経験からも、他人事ではない
感覚を覚え、胃のあたりがキューっと
痛くなってきます。

この複雑で難しい状況の中、どこから
手をつけたらいいのでしょうか。
多くの企業が悩んでいるこの課題、
具体的な解決策もさることながら、
その前に、「管理職/マネジャー」に
対してこれまで存在する
「前提となっている考え方」
「パラダイム」の転換が必要な気がします。

例えば
・マネジャーは現場のリーダーだから
一番業務に精通し、
部下を統率しなければならない

・マネジャーは部下の育成や
キャリア形成を支援しなければいけない

・マネジャーはチームの仕事全体を
とりまとめ、上司や関係部署に報告
する必要がある

などなど。他にもあると思いますが、
私たちの無意識の前提になっている
ようなレベルから考え直す必要がある
のではないでしょうか。

■体育会イノベーション

個人的にヒントになる気がしているのが、
「体育会イノベーション」。

帝京大学ラグビー部・元監督の
岩出雅之さんが進めたもので、
日本体育大学野球部・古城監督や
青山学院大学陸上競技部・原監督などの
取り組みも本質的にはこの
「体育会イノベーション」と言える
と思います。

「4年生は神様、1年生は奴隷」という
旧来の上下関係をひっくり返して悪しき
体育会の伝統を排除し、上級生が
率先してチームや寮の雑用を行い、
後輩の面倒をみる、そして
フラットな関係からチームが強くなる
ために必要なことをやり抜く、
というものです。

※ 参考)日本経済新聞
「スポーツにみる忖度文化の終わり」


マネジャーを取り巻く状況にも、
これくらいの転換、前提となっている
常識の「ひっくり返し」が
必要な気がします。

例えば、
・役員や部長が、マネジャーを助ける。
「雑用」を引き受ける。
マネジャーが活躍できる環境を作る。

・ラインを外れたベテラン社員が、
マネジャーと連携しつつ若手の育成に
あたる。

・スタッフの仕事も「マネジャーに
とりまとめてもらう」のではなく
「マネジャーを助ける」に転換する

といった感じです。


具体的には色々と難しい点もあると
思いますが、まずは無意識的に
前提となっている常識をひっくり返して
考えてみるところから始めませんか。
そして
「早く実力をつけてマネジャーになり、
思い切り活躍したい!」と思ってもらえる
組織を作っていきませんか。


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