感謝や気持ち、願いを伝えていくこと

こんにちは!
ウエイクアップのたえこと、
西井多栄子です。

年の瀬も押し迫り、イルミネーションが
街を彩る季節を迎えるこの時期、
1年の振り返りをされたり、
来年以降に向けての抱負などを
考える方も多いのではないでしょうか。

そんな時期に、私がいつも思い出す
出来事があります。
それは、私が若手銀行員時代に、
家族ぐるみでご縁をいただいていた
お客様と、公正証書遺言を作成する場に
同席させていただいた時のことでした。

とある年の瀬が迫る頃、突然、
「遺言書を書こうと思う」
とご連絡をいただきました。

いろいろな手続きが複雑にある時代
でしたので、
時間がかかる旨お伝えしたところ、
「年内に作成したい」と……。

「無理!無理!無理!無理~っ!」
と当時20代の鼻っ柱強い時代の私
でしたが、笑、
個別でご事情を伺うにつれ、
「年内にやりとげる!」と腹をくくり、
師走のお坊さん以上に走り回って、
年末に公証役場で遺言書を作成するに
至りました。

ちなみに、当時の公的な遺言書の
代表格である公正証書遺言は、
公証役場に遺言者であるお客様ご本人と
証人2名(うち1名が私)が出向き、
遺言者本人から公証人に遺言の内容を
改めて口頭で告げていただき、公証人が
判断能力を有する遺言者の真意である
ことを確認したうえで、
遺言書の作成が行われるものでした。

当日、お客様ご本人が遺言書案を
読み上げられている時のことでした。

サクサクと用意された内容を
読み上げられている最後のところで
突然、沈黙になられました。
その手元には、「付言事項」のメモが
ありました。

※「付言事項」とは、遺言書を通して、
お世話になった人への感謝、
家族や自分が大切にしてきたものへの
気持ちや願いなどを伝えることが
一般的に行われていますが、この感謝や
気持ち、願いを伝える文章のことを言います。

しばらく沈黙の後、ゆっくりと、
初めて聞かせてもらったのではないか
と思うくらいの深い、静かな声で、
長年ともに過ごされた大切な方への
メッセージを読み上げられました。

守秘義務上内容には触れませんが、
そこには、
人生を共に歩んでこられた方への感謝と
残された人への願い、深い愛情が
込められたものがあり、
証人としてただ立ち会っている私の
心までもが震える時間でした。

帰り道、「こうでもしないと
伝えられない性分でね……」と
おっしゃった顔を今でも思い出します。

遺言書の一部として残された
メッセージは、その人が
この世に肉体的な別れを告げた後に、
残された人に伝えられます。その形で
表現することを決められたお客様は、
それまでに見たことないほどの
優しい表情をされていました。

感謝や自分本来の気持ちを伝えるとき、
そこに相手へのリスペクトや
願いがあります。

コ―アクティブ・コーチングは、人の
根源的な願いに触れていく関わりでもあります。

伝えるタイミングや伝え方は
たくさんあると思いますが、
本当に伝えたいことを伝えきることは
難しいのかもしれません。
面と向かって伝えることの恥ずかしさ
もあります。

それでも、伝えたいことを何らかの形で
大切な人に伝えることができることは、
その人本人や伝えられた人の人生に
何かをもたらすことは間違いない
と感じる出来事でした。

2023年もあと少し。
自分なりに
大切な人やお世話になった方へ、感謝や
気持ち、願いを伝えておきませんか?

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