ウエイクアップの上田晶子(あっちゃん)です。
コーアクティブ・コーチングのコースや
企業内でのトレーニングプログラムの
トレーナーを担当しています。
トレーニングの中で、
受講生の方から様々な質問を頂きます。
「コーチはアドバイスや自分の意見を
言っちゃいけないんですよね?」
「コーチはしっかりと相手の話を
聞き続けなきゃいけないんですよね?」
「相手の話を聞いていて、自分も感情が溢れてきて
泣きそうになることがあり自己管理が
難しいのですが、どうしたらいいですか?」
ご質問を頂く度に、誠実に、正しく学び、
実践しようとされているからこその
ご質問なのだろうと感じます。
結論から言うと、
コーアクティブ・コーチングにおいて、
これは絶対やっちゃダメ!というルールはありません。
(もちろん、プロフェッショナルコーチとしての
職業倫理を遵守することが大前提としてあります)
大切なことは、二つだけです。
一つ目は、
コーチのその関わりによって、
クライアントに
どんなインパクトがもたらされるのか。
二つ目は、
コーチのその関わりによって、
コーチングの関係に
どんなインパクトがもたらされるのか。
時にコーチがアドバイスをしたり
自分の意見や経験をシェアすることが、
クライアントが更なる材料を手にした上で、
自ら明確な選択をする
後押しになっているとしたら、
それはとても効果的な関わりです。
コーチが、自分が持ちうる全てを使って、
自分を信じ、応援してくれている。
クライアントがそう感じたとしたら、
それは二人の関係性の力をさらに強めてくれます。
もし、コーチが一方的に
アドバイスをしたり、自分の意見や経験を
シェアし続けることで、クライアントが
自ら思考し、選択するのではなく、
本当に言いたいことを言えないと感じたり、
コーチに答えを求め、依存し始めるとしたら、
その関わりは効果的ではありません。
クライアントが、さらに大きくなってゆくのか。
コーチングの関係が、
よりパワフルになってゆくのか。
それが全てです。
このメルマガを書きながら思い出すのは、
数年前、私と共に歩んでくれた
コーチの関わりです。
夫のある振る舞いに、
心の奥底では強い怒りを感じながらも、
私は、冷静に言葉を選びながら、
淡々とその出来事をコーチに話していました。
最初は静かに頷きながら聞いていた彼女が、
ある瞬間、こう言葉にしました。
「あっちゃん、ごめん。
今、私、コーチでいられない。」
そして、普段はチャーミングな彼女の表情が
みるみるうちに険しくなり、
声を震わせて、目を真っ赤にして言いました。
「でも、言うね。
それ、旦那さん、ひどいよ・・・!!」
「あっちゃん、なんで怒らないの??
怒っていいんだよ!!」
その瞬間、私の中で蓋をしていた重い何か、
自分では絶対に外さない、と決めていた
何かがずるり、と外れました。
そして、止まらない涙とともに、
いろんな感情が溢れ出しました。
今思い出しても胸が熱くなるくらい、
明確に、その瞬間の経験は
私に刻まれています。
その後、
彼女とのこのセッションをきっかけに、
私は、この出来事にまつわる
夫との対話を始めました。
自分の奥底にある怒りや悲しみに気づき、
許可を与え、表現し、さらに、
その奥底にある願いにつながる。
行きつ戻りつしながら対話を続けた
あの時があったから、私たち夫婦の
今があり、家族の今がある、
と実感しています。
コーチが自分の全てを使う。
全てを、勇気と自由さを持って差し出し、
共に創りあう。
その、唯一無二の二人が創り出す
唯一無二のダンスが、
クライアントの人生に、
本質的な変化をもたらします。
みなさんの今日が、皆さんの持ち場で、
みなさんの全てを使い、
相手の全てを使い、
人と創り出す瞬間に満ちていますように。