組織内で連鎖する支配と依存の関係

ウエイクアップ組織変容®コーチの
木村史子です。

今日は私がお手伝いしたある企業のケース
について、クライアントの許可をいただいて
書いてみます。

ある独立系SIerでのお話です。
この企業とのご縁は、経営メンバーでもある
業績抜群の営業部長【鈴木さん(仮名)】に
コーチングしてほしいという人事からの
依頼が始まりでした。

階層ごとなど一斉に複数名のコーチングの
依頼が入ることはもちろんありますが、
このようにお一人だけの依頼が入ることもあります。
そういう時は大抵「何か」あります。

鈴木さんの場合は、彼の部署だけ離職率が
とても高く、そして決定的だったのは、
外部通報窓口に鈴木さんのパワハラを
訴える相談が入ったことでした。

一般的には、パワハラの加害社員には、
なんらかの処分をしたり、研修などを
受けてもらうことで改善を図ることが
多いのかもしれません。
しかし、この企業の場合は、CEOから
「鈴木さんにはコーチを雇いなさい」
という指示が人事にあり、何人かの
コーチにお声がかかり、オーディションで
コーチを選定するというプロセスがありました。

CEOは欧州でのビジネス経験があり、
欧米では日本よりもトップや
経営メンバーにコーチを雇うことは一般的
ですから、そのご経験からコーチングが
効果的であると判断されたようです。

鈴木さんのコーチングがひと段落した頃、
経営チームへのシステム・コーチング®
(チームコーチング)のご依頼がありました。
その機会をいただいて他の経営メンバーに
インタビューしてみると、
いろんなことがわかってきました。

特徴的だったのは、
CEOの非常に強いリーダーシップにより、
すべての事業が進んでいる
ということでした。
鈴木さんはもちろん、経営メンバーや
部長層も、CEOを一心に見上げて仕事を
している。そんな状況がありました。

経営メンバー同士の横のつながりや
協働は希薄で、経営会議ではあまり
本音が話されることはなく、
ナレッジも共有されない。

CEOの意向に沿った決断や判断が
経営メンバーに伝達され、
それが部下に伝わっていく。
そんな構造が明らかになっていきました。

CEOの「支配」と、経営メンバーの
CEOへの「依存」が組織全体に蔓延して
いるということがわかったのです。
このインタビューを通じて、
鈴木さんのパワーハランスメントと
彼のマネジメントスタイルが
なぜこうなったのかも、
この構造が一因だったのだと感じました。

上司が「私のやり方でやってほしい」
という支配的マネジメントを行い、
部下が「上司のやり方でやれば間違いない」
と上司の満足のために仕事をして
「依存」していく。

一見、上手く行っているように見えます
が、そのマネジメントスタイルは
部下の部下にも、その部下にも
連鎖していきます。
そして、このような組織では、
個人成長と協働が起きにくいと感じます。

各人の対人対応力は様々なので、
支配的マネジメントがパワハラ的に
なる人も、ならない人もいますが、
この組織にはそもそもパワハラが
起きやすい構造があったのだなぁ、と
今はわかります。

「部下にコーチングを受けさせたい」
と思うあなた、もしかしたら、
あなたのマネジメントが部下の成長を
阻んでいるかもしれません。

自社には何が起きているのか?
知りたい方は、ぜひウエイクアップ
組織変容チームにご相談ください。

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