小さな火のうちに

ウエイクアップの山田希です。

私は学生時代に所属していたサークルで
打ち上げや飲み会などの幹事担当でした。
その際に返事をなかなかしない人が
必ずいて悩まされました。

お店に無理を言って席を増やして
もらったり、逆に急なキャンセルで一部
料金を負担したり。
幹事の大変さを味わった私は、
自分が誘われたときのお返事は
素早くしよう、と決意をしました。

社会人になったある日、
あるお誘いに対して、他に約束があった私は
心がけ通り素早くお断りのお返事を出しました。
ところが、後日その友人から、
「もう少し時間を置いてから返事をしてほしかった」
と言われたのです。

驚いた私が尋ねると、彼女曰く、
「すぐ返事が来るってことは行きたくない
場だって思ってるのだと感じる。
主催者として傷つく。
少し時間を置いて返事があると、
悩んでくれたのだと思って嬉しい。
だから私は主催者のことを思って
いつもそうしている。」とのこと。

確かに振り返って見れば、
彼女からのお返事はOKなときもダメな時も、
必ず数日間空けて来ていました。
単に「返事の遅い人」だと思っていた
のですが、その背景に細やかな気遣いが
あったのだと分かったのです。

同じ「主催者のため」を思っての行動
でしたが、私と彼女の取っていた行動は
真逆でした。
そして自分の行動が相手のためになると
信じて行動していたにもかかわらず、
お互い相手の気分を害していたのでした。

小さなボタンの掛け違えから
相手に対する誤解や思い込みが育ち、
気が付いたらどうにも手を付けようが
なくなっていた、ということは
よく起こります。
その事の発端は意外にも相手に対する
思いやりや気遣いである場合もあります。

職場ではここに上下関係や立場、
仕事上の権限・責任、情報管理など
様々なものが絡み合って、さらに事態が
複雑化することもあります。

私と友人のように早いうちに
フィードバックがなされ、自分の行動が
与えていた影響が理解できれば
それ以上悪化することは避けられる
かもしれませんが、相手が常に
フィードバックを返してくれるわけでは
ありませんし、受け取れないこともあります。
であれば一体どうしたらいいのでしょうか。

当社では2年前から
ハラスメント防止法を契機とし、
「NOハラハラプロジェクト」と題して、
コミュニケーションの齟齬から人間関係の
問題に発展することを防ぐ土壌づくりを始めました。

まだまだ試行錯誤での展開ですし、これが
万能な解決法であるとも思ってはいませんが、
組織全体の感度を上げていくことには
少しずつ寄与しているのかなと感じています。

社内ワークショップを開催し、
心の声入りスキットを通じて
「こういうときあるかも」と気づき、
幸せな協働が出来ているか、
考える時間を取っています。

昨今では仕事を辞める理由の1位に
職場の人間関係があると言われます。
コミュニケーションの齟齬を完全に
なくすことは出来ないと思いますが、
日常で長い時間を過ごす職場だからこそ、
願わくば小さなうちに、お互いに
火を消し止められる環境でありたい
ものだなと思います。

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