ウエイクアップ組織変容®コーチの
木村史子です。
あなたは「この人コーチング受ければいいのに」
と思うことはありますか?
私には、あります。
また、私たちコーチにいただくお問合せや
リクエストも、同様であることが多いです。
「私の部下にコーチをつけたい。
予算は彼らにまわしたい。私は対象外で結構です。
部下たちの成長を期待しているから。」
「管理職が目の前の仕事にかかりきりで、
会社のビジョンの体現者になっているとは思えない。
彼らをコーチングで成長させてほしい。」
「仕事のパートナーにもっと成長してほしい。
私たちがより良いサービスを提供していくために、
クライアントのために、彼にコーチングを受けてほしい。」
「夫は、仕事のスキルを身につけることには
興味があるのですが、人として成長する
ということには興味がないのです。
このままではつまらない人生を送ることになるでしょう。
彼のためにコーチを雇うことが得策なのでは
ないかと思うのです。」
そんなお声が届くのです。
そして、目の前の人に貢献したいという
そのお気持ちを素晴らしいと思うと同時に、
わたしたちコーチは思うのです。
「あなたは?」と。そして、「私は?」と。
こんなとき、「学習する組織」の著者である
ピーター・センゲさんの知恵を学ぶ機会の中で
出会った言葉たちが思い出されます。
黎明期からこの「学習する組織」を実践していた
ハノーバー保険の元CEOビル・オブライアンは、
「システムへの介入の成否は、介入者の
心の在り様に依存する」と言ったそうです。
ここでいうシステムを、
「相互に影響し合う集合体」と定義した時、
「コーチング受ければいいのに」と思うあなたの、
そしてそれを聴いている私の心のあり方は
どうだろうか、と。
チームメイトに、部下に、夫に、同僚に、
なんとか変わってほしい、成長してほしい
と思っていることに気づいた時、
「目の前の人をなんとか変化させたい」と願うとき、
それは自分を観察する視点が抜けていることに気づく
内省のチャンスなのかもしれません。
これは、人材開発や組織変容に関わる私たちが
本当によく陥る罠でもあります。
「目の前の人を(スポンサーの意向に沿って)
なんとかしなければ」と力がこもるとき、
すべての歯車がガタガタと崩れ始めることは
本当によくあることです。
「私」が相手に影響を与えているだけではなく、
私自身が、目の前の人から影響を受けている
システムの一部であることに気づかず、
目の前のチームや人を「道具」のように
「治そう」「修正しよう」とするとき、
うまくいかない可能性が高まります。
「人は変化に抵抗する」
とはよく言いますが、実際には
「変化すること」に抵抗しているのではなく、
「変えられること」に抵抗しているのに
過ぎないそうです。
どおりで、「私がなんとかしなければ」
「彼らを成長させなければ」と思うときに、
物事がうまくいかなくなるわけなのです。
こんなシステムの視点を携えながら、組織や
チームに関わるのが私たち組織変容®コーチです。
あなたの組織やチームについて、
「なんとかしたい」と思ったときには、
お気軽にご相談ください。
「そうおっしゃるあなたは、彼らとどう
影響しあっていると思いますか?」と
質問させていただくところから
スタートさせていただくことがあるかもしれませんね。