ウエイクアップ組織変容コーチ川添香です。
みなさんは映画お好きですか?
ずいぶん昔、やりたいことリストに
1カ月に1回映画館で映画を見る
というのを掲げたことがあります。
今は、映画館に足を運ばずとも好きな時に
好きな映画が見られるようになりました。
2か月ほど前のNIKKEIプラス1に、
リーダーシップを学べる映画のランキング
がありました。
それによると、
1位 マネーボール
2位 アポロ13
3位 ドリーム
4位 インビクタス/負けざる者たち
5位 シンドラーのリスト
6位 ハドソン川の軌跡
7位 ペンタゴン・ペーパーズ
8位 ウィンストン・チャーチル
9位 英国王のスピーチ
10位 フォードVSフェラーリ
だそうです。
みなさんも知っている映画、多かったんじゃ
ないでしょうか。
私も見た映画、見たかった映画が多く名前を
連ねていました。
その中で目を引いたのが
「NASAの3人の黒人女性 偉業への道」
という小見出しがついている3位の『ドリーム』です。
これは初耳の映画です。
ずっと見てみたいと思っていたのですが、
先日配信サイトに加入して、
ようやく見ることができました。
時代は1960年代初め、米ソが宇宙開発で
しのぎを削っていた時代です。
同時に人種差別、性差別が当たり前のように
あった時代でもありました。
その時代の中で、3人の黒人女性が米国初の
地球周回軌道飛行の成功を支えていく
過程を描いたノンフィクション映画です。
見終わった後、じんわりと胸を打つものが
ありました。
リーダーシップという観点からも素晴らしい
のですが、私はシステムコーチング®の視点からも
とても面白く映画を見ることができました。
記事にも特筆されているシーンに、NASAの
本部長が黒人用トイレの看板を壊し、トイレに
人種は関係ないと宣言するシーンがあります。
無知で恥ずかしいくらいですが、この当時
白人と黒人はオフィスも別だったのですね。
もちろんトイレも別。
抜擢され白人のチームに計算係として入った
ヒロイン(コンピューターではなく、人間が
計算して宇宙船を飛ばす時代、それだけでも
どれだけ優秀なのだろうと思ってしまいます)
は、別棟にある黒人用トイレに40分かけて
行き来し、ときおり席を外すことを余儀なく
されていました。
時間との闘いですから雨の日もファイルを
持ってトイレに駆け込むということを
繰り返していたのです。
ある日、彼女に目を掛けていた本部長がそれに
気づき、なぜいなくなるのかと問いただして、
黒人トイレが別であることに初めて気づきます。
これが先に紹介したシーンにつながります。
大きなハンマーで看板を打ち砕く本部長の姿を
遠巻きに部下たちが見つめるシーンは
さすがに印象に残ります。
スカッとするシーンでもありますが、
システムコーチングの視点でここに
見えるのは、「ランク」の存在です。
システムコーチングの土台ともなっている
プロセスワークの祖、アーノルド・ミンデルは、
社会にある力の差をランク=特権と呼び
特別な意味を持たせました。
彼は「ランクは麻薬である」と断定し、続けて
「自分のランクが高くなればなるほど、それが
いかに他者に否定的に影響するかということに
気づきにくくなる」としています。
(※紛争の心理学引用)
まさに映画のトイレ事件はこれを表しています。
まず、本部長が黒人トイレがビルの中にない
ことを知らないこと。
これは、自分自身のランクに無自覚である
ことを示しています。
ポイントは、ランクが
高い方はそのランクの存在に気づきにくく、
低い方はそのランクに常に抑圧されている
ということです。
トイレに行くためにびしょ濡れになった
ヒロインは問い詰められて、感情を抑えながらも
肩を震わせて本部長に訴えます。
そこで初めて彼は自分のランクの無自覚さに
気づくのです。
(この時の本部長の表情がとてもいいんです!)
さらなるポイントは、ランクは自覚すると
強みとして使えるということ。
本部長がトイレの看板を壊し、
トイレに人種は関係ないと宣言したのは
まさにそれにあたります。
やり方が適切かどうかは別として、
部下のパフォーマンスを上げるために
自分のランクを使ったといえるでしょう。
ランクは社会の中で、人間関係の中で、
なくなるものではありません。
人種やジェンダーや組織の役職だけでなく、
年齢や体力や知能、さらに心理的な強さなど、
そこここにランクは存在します。
ランクは麻薬。毒にも薬にもなるものです。
それは、自分の持つランクに自覚的になること
で、周りの人間関係を建設的に構築できる
可能性があるということです。
何か身近にうまくいっていないことがあるとき、
そこにランクの無自覚が潜んでいるかもしれません。
少し視点を変え、探してみるのはいかがでしょうか。
『ドリーム』お勧めです。
サクセスストーリーとしても十分楽しめ、
勇気がもらえる映画です。
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