50年前の日本人の「幸せ」

ウエイクアップの久慈洋子です。

たまたま、ちょうど50年前の「暮しの手帖」を読んでいたら、
「幸せとはなんでしょうか」という特集が目に入りました。
(「暮しの手帖」第2世紀 第4号 1970年早春)

(ウチには、「暮しの手帖」が創刊号あたりから、
数十年分あるのです。
余談ですが、70年代、80年代の「手帖」は、
今読んでも、すごくおもしろいですね。
世の中を切り取る視点の鋭さとか、
商品テストとか、執筆陣も当代一流の人ばかりだし…。
ちなみに、この号には「手帖」の社員募集の欄もあって、
そこには「30才以上の女性に限ります」と書いてありました)

この特集は、「あなたにとって<幸せ>とはなんでしょうか」
という問いに答えて、読者1362人が、それぞれ
「自分の幸せ」について書いて応募した中から、
19編が選ばれて掲載されたものです。

50年前ですから、書いておられるのは、皆さんの祖父母、ひょっとしたら
曾祖父母の代の方々かもしれません。
そのころ働き盛りであった日本人は、どんなことを「幸せ」と
思っていたのでしょうか。


この特集を担当した編集者は、こう書いています。

「応募全体を読んで感じるのは、みんなののぞむ<幸せ>は、こんなにも
おだやかで、高望みをしない、ないものねだりでない、遠慮ぶかい、
ささやかな、小さい、つつましいものなのか、ということであった。」

ほう~っと思うのは、応募者の内訳が、女性7;男性1で、圧倒的に
女性が多かったことです。
(そのころの「暮しの手帖」は、男性読者の投稿も女性に劣らず多かったのですが)
だから、というべきか、一番多いタイプは「幸福な家庭」型で、
「仕事が幸せ」という投稿は非常に少なかったようです。(女性だけでなく、男性も)

たとえば、こんな「幸せ」です。

「私の願っている幸福は、…(中略)夫や子供に、グチグチ小言や
文句をいいながら、台所や洗濯をして、その間に野菜をとってきたり、
鶏小屋をのぞいて卵をとってくる。ときたま花壇の花を切ってきて、
床にさす生活を失わずにつづけて行くことだろうか。(46歳 女性)」

「オジイチャン、オバアチャン、とよばれる今日、温かく、平和な家庭がある。
相変らず貧しく、吾家にはカラーテレビもクーラーもない。
だが心はそれほど貧しくなくなった。
若い頃より執拗く離れなかったひがみ根性も、影をひそめたようだ。
私は、しみじみと幸せであると思う。(59歳 男性)」

「「お爺さん、そろそろお迎えが来たようですね」「そうらしいな」
潮騒の音を聞きながら、堅く手を握り合い、微笑を湛え合って、
それこそ朽木が倒れるように、誰にも知られず、同時に死んでいきたい。
…(中略)私はそうした最上の死が可能であることを信じて疑わないし、
そこにこそ、本当の幸福があると思うのである。(48歳 女性)」

「逢える喜びも、別れの悲しみも、船員の私には、すべて幸せにつながっている。
…(中略)妻はよく手紙に「あなたの定年が待ち遠しい」と書いてよこす。
定年の日が一番幸せだろう、と心待ちにしている妻のためにも、
一生懸命働こうと、今朝も私は機関室に立っている。(39歳 男性)」

なんだか、小津安二郎監督の映画のようではありませんか。

一方で、こんな「叫び」もあります。

「よそ目には、御主人が立派で小金があって、子どもがオール5で、
幸福とは私の事だそうです。私は心で毎日幸福になりたいとさけんでいるのです。
しかし私のような女は家庭の中だけにしか、幸せを見つけるしかないのです。(50歳 女性)」

「私の一番の望みは、「毎日、一時間でいい。自由に本が読める、夜の時間が欲しい」
という事なのです。…(中略)どうせ、このむずかしい人間の世の中を生きて
行くのですから、いやな事、苦しい事は仕方ないでしょう。ただ、
それを乗りきるためのエネルギー源があれば、幸せだなあと思うのです。(42歳 女性)」

そして、独り言のように出てくる、こんな言葉も…。

「誰かが 何かを 求めていて ぼくの人生と交叉する その時 ぼくに
その何かに 応えてやれる力があり 確かにそれに応えたとき 幸福というものは
そこに その一瞬に あるといえるのではないだろうか(49歳 男性)」

さて、それから50年経った今、
「幸せの姿」は、変わってきているのでしょうか?

あまり変わっていないのかも、と思う一方で、確かに変わった、といえるのは、
「幸せな職場、幸せな会社」という言葉が、“常識化”してきたことでしょう。

(50年前には、いや5年前でさえ、「会社ってところは、
必死に働いてナンボのところなんだから、“幸せ”なんて甘いこと
言うんじゃないよ!」という方々がいっぱいいらしたのですから)

そのことをテーマとして、
「みんなで幸せでい続ける経営研究会」*をつくった3人が、熱く語り合いました。
「幸福学」研究の第一人者である慶応義塾大学大学院教授 前野隆司先生、
三菱鉛筆株式会社 常勤監査役 都丸淳さん、
そして、ウエイクアップの代表である島村仗志、の3人です。

その動画、「意識の進化×幸せ経営」を
「意識の進化」動画シリーズの1つとしてアップいたしました。
ぜひ、ご覧ください。

*「みんなで幸せでい続ける経営研究会」のHPは、以下です。
https://shiawaseken.jp/

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