D&Iはもはや人間だけではない

ウエイクアップの久慈 洋子です。

先日、新聞でおもしろいコメントを読みました。

「多様性のある職場が重要——。
よく経営者から聞くセリフだ。
普通それは性別や年齢、国籍が
さまざまな人材が集うと、いい知恵や
力が出るという意味合いだろう。
だが、もうそれでは不十分。
AIやロボットを含めた多様性という
視点が欠かせなくなる。」
(日本経済新聞 2020年9月26日朝刊 村山 恵一氏)

また同記事で、村山氏は、ロボット会社
GROOVE Xを率いる林 要氏の言葉をこう引用しています。
林氏は「のび太とドラえもん」の関係を理想とし、
「人類の強みは、自分と異なるものと協力し問題を解決すること。
だから、ダイバーシティ(多様性)が大事だ。
いまは人間同士の範囲だが、ロボットと協力することで解決能力が増す」

たしかに、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の
目指すところは、異なる意識のあり方、ものの見方が
交わり刺激し合って、新しいもの、新しい世界を
創り出すことだと思います。

その「意識のあり方、ものの見方」の主は、もはや、
人間だけではなくなりつつある時代なのですね。

人間とは異なる思考方法、思考スピード、
認識の仕方をもつものとの「協働」という、
壮大な実験の時代が、すぐそこに来ています。

それを考えると、みなさんも、ワクワクするような、
そら恐ろしいような感じを持たれるのではないでしょうか。

ただ、そこには、大きなチャレンジがあります。

人間はロボットではないので、自分と異なる意識、
思考回路、視点を持った存在と
「一緒にいる、一緒に何かやる」ことに、本能的に
居心地の悪さを感じます。

「得体の知れないもの」への根源的な恐怖感・不信感でしょうか。

しかし、考えてみれば、その「居心地の悪さ」は、
「隣の仕事相手」がAIやロボットである場合だけではありません。

自分とは違ったバックグラウンド、ものの見方、
感じ方を持った存在に対して人はまず不安を感じるし、用心します。

気心の知れた、ツーといえばカーという仲間たちとの
つきあいの心地よさ、「こう動けば、こうやってくれるよな」
という職場の中の暗黙知、この快さ。

会社に多様な人たちが増え、活躍していくほど、
そんなものを手放して、自分の考えやその拠って立つ根拠、
意識のあり方を、一つひとつ、ゼロベースから、
確認・発信していくというややこしい作業が必要になります。
(しかも、それに対して反論されたら、また理論構築して、
やり直なければならない……ああ、面倒くさい!)

その一見効率の悪い作業の手間、居心地の悪さ、
そして自分が「正しい」と思っていたことが
ひょっとしたら覆されるかもしれないという恐れ、
そんな心理的コストの高さによって、
D&Iを「推進すべきだ」と頭ではわかっていても、
現実にはなかなか進まない、ということに
なっているのではないでしょうか。

企業のトップ層でも、
「このコロナ禍での業績悪化にどう対処するかで頭がいっぱいで、
正直、D&Iどころではないよ」という方々が、
けっこうおられると思います。
(もちろん、「この状況下だからこそ、D&Iが大事」と
おっしゃる経営者も、たくさんいらっしゃいますが)

「今まで出会ったことのない世界」の中で生きていくためには、
「今までどおりの体制」ではダメなことは、だれでも
わかっているはずなのですが、それを凌駕するほど、
D&Iの「心理的コスト」は高いわけです。

それでも、それを乗り越えない限り、「次の世界」は見えてきません。

AIやロボットが、隣の席の「同僚」として働く日は、
もうそこに来ています。

では、どうしたらいいのでしょうか?

そのための、いいお手本、この30年、40年をかけて実験してきた
プロセスと、そこにあふれている知恵があります。

それが、「女性の活躍推進」にがんばってこられた方々の道のりです。

先輩女性たち(と周りの男性たち)が、どんなふうに
この問題と向き合ってきたか、どうやって乗り越え、また
自らや周りの意識を変えてきたのか。

しなやかでしたたかな、その道のりと学びを振り返る、
ちょうどよい機会ではないでしょうか。

本当の意味での「女性活躍」は、日本はもとより、
グローバルに見ても、道半ばのイシューではありますが、
それでも、その道の中には、知恵と経験がいっぱいあります。

そのことをテーマとして、「伴想人」チームの女性役員経験者5人と
男性役員経験者1人とが対話した動画をアップしました。

「意識の進化」動画シリーズの1つで、
「意識の進化×D&Iの真価」というタイトルです。

ぜひ、ご覧ください。

*この活動にご興味のある方は、ウエイクアップの
以下のアドレスまでお問合せください。

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