NCD株式会社 様

カオスの中で悩みながら探求し続けた「対話する組織」づくり

カオスの中で悩みながら探求し続けた「対話する組織」づくり
NCD株式会社 様

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業界
情報通信
売上規模(連結)
301億円(2025年3月期)
従業員規模(連結)
1,439名(2025年3月期)
主要事業内容
システム開発事業、サポート&サービス事業、パーキングシステム事業

お話を伺った方
※ 所属、役職は取材当時のものです。

取締役 管理本部副本部長 兼 人財開発部長
後藤紀子 様
管理本部 人財開発部 課長
小松依里 様
管理本部 人財開発部 課長
荒木直人 様

2020年に中期経営計画「Vision2023」を発表して以降、NCDグループのパーパスを策定し、浸透活動を進めてこられました。中期経営計画「Vision2026」では2032年におけるありたい姿をグループビジョン「ワクワク・イキイキと働く環境を通して、お客様や社会と共に、より多くの価値を創造する企業へ」として描き、そこからバックキャストして策定・実行されています。2024年1月には社名を変更し、組織だけでなく、会社としても大きな変化を遂げたNCD株式会社(以下、NCD)。2020年の中期経営計画「Vision2023」のタイミングに合わせて発足した「人財開発部(当時「人財開発室」)」は、「NCDの人を育て、NCDの風土変革により組織を成長させる」ことを目的に、人材戦略を策定し各種施策の企画・運営をしています。アプローチの一つとしてご活用いただいたウエイクアップの「CAO※1」と「パーパス探究ワークショップ」を含めた2021年〜2023年3年間の「対話する組織」づくりの取り組みは、第8回ウエイクアップ・アワードにも選出されました。今回はウエイクアップの組織変容コーチ 山川が、主要メンバーである部長の後藤さん、課長の小松さん、荒木さんとこれまでの取り組みを振り返ります。(以下、文中敬称略)

この記事の目次

マネジメントへの不安を救ってくれた、コーチングの学びと出会い

2013年に後藤さんが管理職となり、マネジメントに不安を感じられたことでコーチングに出会われましたね。その経緯から振り返りましょう。

後藤 システム開発や保守のプロジェクトマネジャーの経験はありましたが、管理職に求められる組織マネジメントはまったく別物であることに気がつきました。当時のNCDには管理職のための研修やフォロー体制がなかったため、書籍やセミナーを探して勉強しましたが、「私にできるだろうか」という不安と戸惑いは拭えませんでした。それを友人に相談したところ、「コーチングを試してみたら」とすすめられたのです。

参加されたのはCTI JAPAN※2の基礎コース※3ですね。

後藤 社内に相談する人もなく、自分のマネジメントスタイルも確立できない、というカオスから抜け出したい一心でとにかく受講を決めました。そして、実際に受講してみると人に焦点を当てて対話をするアプローチが自分に合っていると感じたのです。まずはこれを自分で実践してみようと。加えて私の背中を押してくれたのは、そこから生まれた出会いでした。

それは大きな転換期でしたね。基礎コースのような学びの場、そしてウエイクアップが主催していたさまざまなイベントにご参加いただき、同じ悩みを持った方々に多く出会われたのではないでしょうか?

後藤 私と同じように悩んでいる方や、そこを抜けて上流のマネジメントをしている方など、多様なお話から多くのヒントをいただきました。また同時に基礎コースでの学びを活かして会社でもさまざまな人の話を聴き始めました。すると「悩んでいるのは私だけじゃない」と気づいたのです。当時のNCDの管理職は皆「自力で成長し、自分のスタイルを確立すべし」という環境で頑張っていました。同僚も元上司たちも、私と同様に苦しんでいたのです。それでもなお「NCDが好き」「会社をもっと良くしたい」と異口同音に話すのです。それを知って「もっと人と人が対話できる組織に変えたい。皆の主体性が発揮できる環境にこのNCDを変えていきたい」という想いが私の中にも生まれてきました。

「対話する組織」をつくることで、会社を変え、成長に導く

「対話できる組織」が重要と気づかれてから2020年に人財開発室を立ち上げられるまではどのような活動をされたのでしょうか?

後藤 ウエイクアップ主催の交流会で他社の方々の事例を伺い、コミュニケーションの習慣や手法をボトムアップで定着させるのは困難で、時間もかかるとわかりました。私自身は基礎コースから応用・上級コースへと進み、CPCC※4を取得しました。コーチングの学びと仕事の経験を通じて、自分のマネジメントスタイルもずいぶん変わったと思います。その体験から、人が変わるには5年かかる。それが風土に波及するには10年かかる。人の成長と風土を変革するための取り組みを進めていきたいという想いが強くなっていました。 また、ちょうどその頃は2020年の中期経営計画「Vision2023」の策定が始まるタイミングでした。経営方針や組織まで大きく変わるので、ここを逃すと5~10年先延ばしになると考えました。現場時代の上司だった当時の経営企画室長や現管理本部長の加藤は人材育成と組織開発の必要性を強く認識していたので、「もし新たな部署が立ち上がるのであれば私にやらせてほしい」と願い出ていました。「NCDが変わるには人が変わらないといけない。人が変わるためにはコミュニケーションや風土が変わらないといけない。そのための部署が必要」ということを経営陣に理解いただき人財開発室が発足しました。

NCDさんにとっても大きな出来事ですし、経営課題に合わせてのご提案は素晴らしいですよね。ただ、発足当時はコーチング的な対話アプローチを導入するか悩んでいましたね。

後藤 自身のマネジメントのカオスから脱するヒントを与えてくれたのはコーチングでしたが、NCDに合っているかは確信が持てなかったのです。そこで人財開発室を共に立ち上げた小松に企業向けの基礎コース(Co-Active®コーチング for マネジメント)を受講してもらいました。小松は社員研修やメンター制度の構築・運営を担当していましたし、私と同じく「会社を変えたい」という想いもありました。その小松が受講後に「自分にとってとても良い機会だった。NCDに合っているし、必要だと思う」と反応してくれたので、今度は二人でCAOの体験コースを受講しました。そこからコーチング的な対話アプローチを導入する方向で検討を始めたのです。

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取締役 専務執行役員 管理本部長 加藤裕介さんを交えて談笑 左から加藤さん、後藤さん、小松さん、荒木さん、山川(ウエイクアップ)

コーチングが共通言語になることで、対話が生まれる環境へ

小松さんは現在CAOの運営を担当されています。どのような点がNCDさんに合っていると感じましたか?

小松 後藤とは「NCDの社員は会社の将来を真剣に考えている。でもその想いが表に出てこない。みんなが対話し、その想いを表現できればNCDは変わる」と話していました。コーチングは「自分は何を考えているか。何を実現したいか」を問われますし、それを自分の言葉で解釈して表現する。中でもCAOは人に焦点を当てて他者との関わり方を学びます。私は「NCDはもっと人と関わり合い、育てる組織にならないと」と考えていましたから、有機的に人が関係して育て合うことにCAOは役立つと考えたのです。

現在はどのような運営をされていますか?

小松 初年度は部長から次長まで、2年目はリーダー層、3年目はグループ会社の管理職と、対象を広げて受講者を増やしてきました。普段の報連相メインのコミュニケーションとは手法も目的も違うので、最初はみんな居心地が悪い部分もあったようです。そこで学びが定着することを目的に、CAOで用いたスキルやスタンス、なによりコーチングの考え方が社内の共通言語になるよう定期的に振り返り会を実施しています。それもあり、受講を通してできた横のつながりが維持され、振り返り会や業務後の飲み会などで会社について自分の言葉で話し合う機会が増えてきました。これは同時に行ったパーパス探究ワークショップの効果も大きいと感じています。

理解ではなく、自分とパーパスの接点を探求する。その効果は大きい

パーパス探究ワークショップをメインで運営されている荒木さんは、2020年の人財開発室発足のタイミングでNCDに転職されてきましたね。

荒木 大きく組織が変更されるのに合わせ、新たに人財開発室を立ち上げるという求人はとても魅力的でした。これまで培ってきた経験が活かせると、転職を決めました。NCDは中期経営計画を機に大きな変化を遂げました。組織もそうですし、パーパスを起点とした企業理念体系が再整理されました。経営陣は人と組織の成長を本気で考えているのだな、と感じました。ただ、その熱が社員間にも浸透しなければ、すべてお題目で終わってしまう。そこで、実はパーパス策定で協業したコンサルティング企業様から、理解・浸透のための研修を提案されていたのです。

にもかかわらずウエイクアップのパーパス探究ワークショップを採用された決め手はどこにありましたか?

荒木 内容の良さです。NCDのパーパスは「人の鼓動、もっと社会へ。」ですが、抽象的な言葉はうまくガイドしないと自分事に落ちず、理解も共感も生まれません。受け身の研修ではその失敗が起こりがちです。ウエイクアップのプログラムは、全員が能動的に参加するスタイルで、まず自分の人生のパーパスを言語化することから始まり、それとNCDのパーパスとの重なりを見つけていきます。浸透させるのではなく、自分の中にNCDのパーパスとの共通項を見出すのです。感想を聞くと「しっくりきた」「MYパーパスの言語化を通じて会社のパーパスの理解が深まった」「会社がより好きになった」という肯定的なものばかり。ウエイクアップもNCD向けにさまざまなアレンジをしてくれたこともあり、より効果が上がっていると感じています。私はこれまで多くの研修に携わってきました。その経験から言うと、コーチングは対話でのアプローチがメインとなるので、NCDのように「策定したパーパスや理念を浸透させたい」「社員の気持ちのベクトルを合わせたい」と考えている企業にはとてもおすすめできる手法だと思います。

一体感を醸成して、成長へ向かう。それがコーチングで叶う

NCDさんの大きな転換期にコーチングを、ウエイクアップのCAOとパーパス探究ワークショップを選択いただきましたが、実感されている変化はありますか?

後藤 コーチングのアプローチは一朝一夕で効果がでるものではありません。でも受講者と部下が1on1で対話する機会は増えてきました。会社をどう変えたいかなど、自分軸での考えや想いを話すことが増えるといいなと思っています。CAOやパーパス探求ワークショップなどを通じて変化が着実に始まっていると感じています。

小松 先ほどもお話ししましたが、コーチングとその用語が徐々に共通言語になりつつあると感じています。だからこそ後藤が話すように、コミュニケーションも活発になってきているのだなと思います。この変化を組織の、そしてNCDの成長へとつなげたいですね。

荒木 会社の大きな変化を経営層からの押しつけでなく、社員一人ひとりが自分事として捉えられているのを実感します。「みんなで会社をつくっている」という一体感があります。ウエイクアップの皆さんも、共に柔軟にプログラムをつくってくれるので心強いパートナーだと感じています。

ありがとうございます。まだまだ始まったばかりのNCDさんの変化と成長へのチャレンジ。これからもしっかり伴走させていただきます!

後藤 よろしくお願いします!

※1 CAO:Co-Active® Approach for Organization の略称。ビジネスに必要なコーチングスキルを理解・体得する実践型トレーニングプログラム。世界中で15万人以上、日本だけでも13,000人を超える人が受講しているCTIのコーチ・トレーニング・プログラムをビジネス向けにカスタマイズしたもの。https://wakeup-group.com/solution/wakeup-for-leadership-development/#anchor02

※2 CTI JAPAN:国際コーチング連盟(ICF)に世界で初めて認定されたプログラム(Level2)を提供しているコーチングスクール。株式会社ウエイクアップの事業サービスの一つ。https://www.thecoaches.co.jp/

※3 基礎コース:Co-Activeコーチングの基礎スキルを学ぶための2.5日間のプログラム。世界で初めて国際コーチング連盟(ICF)に認定され、世界各国で行われている実践型コーチ・トレーニング・プログラムの最初のステップとなるコース。

※4 CPCC®:CTI認定 Certified Professional Co-Active® Coach(通称:CTI 認定プロコーチ)の略称。

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