株式会社Hakuhodo DY ONE 様

変化を生み出すのは「データ」だけじゃない ~Hakuhodo DY ONEが育てた、対話と共創のカルチャー~

変化を生み出すのは「データ」だけじゃない ~Hakuhodo DY ONEが育てた、対話と共創のカルチャー~
株式会社Hakuhodo DY ONE 様

株式会社Hakuhodo DY ONE 様

業界
デジタルマーケティング
売上規模
非公開
従業員規模
3,172名(2025年4月1日時点)
主要事業内容
デジタルマーケティング全般にまつわる企画・コンサルティング・代行事業、投資事業

お話を伺った方
※ 所属、役職は取材当時のものです。

取締役常務執行役員
貞岡裕達 様

博報堂DYグループにて、デジタルマーケティング領域で国内最大級の実績を持つ株式会社Hakuhodo DY ONEは、マーケティング戦略立案力、クリエイティビティ、高度な運用力と技術開発力、媒体社・プラットフォーマーとの強固な関係性を強みとし、国内外のクライアント企業に対して、デジタル起点でのマーケティング戦略やテクノロジー活用を包括的に支援します。急速な事業の成長や統合の中で浮かび上がったのは、「数字やKPIだけでは組織は動かない」という現実でした。部門や役職の垣根を越えて意見を交わし、共通認識を持ちながら進むためには、人と人とのつながりを深める「対話」が欠かせなかったのです。

その解決の鍵となったのが、ウエイクアップと共に進めたCAO(Co-Active® Approach for Organization)※を核としたマネジメント層へのコミュニケーション強化の取り組みです。本記事では、その推進役を担ったHakuhodo DY ONE取締役常務執行役員の貞岡裕達さん(以下、文中敬称略)と、伴走したウエイクアップの橋本と長沢のインタビュー形式の対談をお届けします。

※CAO:Co-Active® Approach for Organization の略称。ビジネスに必要なコーチングスキルを理解・体得する実践型トレーニングプログラム。世界中で15万人以上、日本だけでも13,000人を超える人が受講しているCTIのコーチ・トレーニング・プログラムをビジネス向けにカスタマイズしたもの。
https://wakeup-group.com/solution/wakeup-for-leadership-development/#anchor02

この記事の目次

導入の背景──統合と急成長のさなかで「対話」に立ち返る

まず、この取り組みを始めた背景や経緯を教えてください。

貞岡 2024年4月、デジタル アドバイジング コンソーシアム株式会社(DAC)と株式会社アイレップの統合によりHakuhodo DY ONEが発足しました。旧DACでは2017年から管理職向け研修としてCAOを導入してきました。当時は毎年100名以上の新卒・中途が入社し、組織が急速に拡大していました。マネージャーはプレイヤーとしての役割も担っており、多忙な中で若い層がさらに若いメンバーをマネジメントする場面も多く発生していました。マネージャー一人ですべてを解決するのは現実的ではなく、“人に焦点を当てる”対話を通じてメンバーの自律を引き出す必要があると考えました。CAOは当社のチームプレイ重視の風土に合致し、導入以来、継続してきました。また、2社の統合による文化的多様性が増す中で、再度「対話の力」をベースに組織をつなぐ必要があったのです。

数字やデータの議論を支えるのは、人の理解と相互信頼ですね。

貞岡 はい。だからこそ、マネージャーとメンバーの対話を研修だけの知識で終わらせず、実務の中で再現できる形にしたいと考えました。そのためにCAOを改めて再定義しながら展開しています。

Hakuhodo DY ONE 貞岡裕達さんとウエイクアップ 橋本
左から 貞岡裕達さん、ウエイクアップ 橋本

プロジェクトの設計──安全な場、共通言語、そして実践の往復

具体的には、どのような設計と運用を意図されたのでしょうか?

貞岡 中核はウエイクアップに提供いただいた、CAOワークショップ(2日間)とフォローアップ(0.5日)です。ワークショップでは、ロールプレイやケーススタディを通じて感覚を掴み、その後の日常業務で試し、再度振り返るという往復によって“人に焦点を当てる”姿勢を体得していきました。“マネージャー間のつながり”が強化される点にも特徴を感じました。同じ悩みを持つ者同士で学ぶ機会は大きな価値があります。「自分だけじゃない」と分かることで場に安心感が生まれ、発言も具体的になります。さらにコーチへの質問も非常に多く、それだけ参加者が“できる限り多くの学びを持ち帰って現場で試す”意志を引き出していただいたのだと思います。

安全な対話の場づくりと共通言語の浸透がセットで進むと、実践の再現性が上がりますね。

貞岡 まさにそうです。アセスメントや内製1on1施策とも接続させて、“対話を場当たりで終わらせない”設計にすることを心がけました。共通言語を研修で学んでおくと、1on1でのコミュニケーションもスムーズになります。

発見とエピソード──「同じ悩み」を共有した瞬間、学びは深まる

受講者皆様の反応や印象的な場面はどのようなものでしたか?

貞岡 “同じ悩みを持つマネージャーの学び合い”が転機でした。人や組織の話題を安心して出し合えることで、議論がケースの深部に届きます。例えば、1on1での“問い”を練習する中で、「成果の話の前に、その人自身に何が起きているかを聴く」という態度の転換が生まれました。また、「自分の組織に戻ったらこう試したい」という声が多かったのも特徴です。現場への持ち帰り前提で学びが定着しているのは大きな手応えでした。

共感、実験、振り返りの循環が行動変容を生んでいますね。

貞岡 ええ。しかも研修に参加したマネージャーは、自分の学びをチームに還元しようとしています。「こういう問いをしたら、部下の見え方が変わった」などの具体的なエピソードを共有することで、彼らの学びが周囲にも波及していきました。

変化の実感──会話の質と主体性が上がる

これらの施策や取り組みからお感じになられる変化はどのようなものですか?

貞岡 まず会話の質が変わりました。以前は「どうやるか」という手段先行の議論になりがちでしたが、今は「なぜやるのか」という目的から対話が始まるようになっています。その結果、意思決定の納得感とスピードが上がりました。さらに主体性の高まりも感じています。自ら課題を持ち込み、提案するマネージャーが増えています。1on1の準備をメンバーと共につくるなど、対話を“双方の場”にする動きも広がっています。フォローアップを挟むことで“実務に落ちた確度”が上がるのも大きいですね。「前回の問いをこう変えたら相手の視点が出た」といった具体的な学びの共有が循環しているのです。

現場での再現が見えてくると、文化として根づくスピードも速まりますね。

実施上の難しさ──“2.5日”という投資と、そのリターン

研修実施にかかる運営面でのご苦労はどのようなものでしたか?

貞岡 正直、繁忙期の受講者に2.5日の研修を促すのはハードルが高いです。現場業務のプレッシャーもありますし、「本当にこの時間を割いて良いのか」という不安もあります。ただ、実際に受講すると前向きに捉えてくれる参加者が多数でした。“時間をかける価値”を体感できているからだと思います。運営側としては、スケジューリングと事前期待の言語化に特に工夫を重ねました。「単なる研修ではなく、実務に直結する体験である」ということを最初にしっかり伝えることで、参加者の心持ちが変わることを経験しました。

場の価値の事前共有と、受講後のフォローが肝ですね。

貞岡 はい。特にフォローアップでは、参加者同士が再会し学びを持ち寄る場になります。ここで“やってみた結果”をシェアすることで、成功体験も失敗体験も次への学びに変わっていきました。時間的な投資は大きいですが、そのリターンは十分にあると実感しています。

今後の展望──全管理職へ、そして文化としての定着へ

貴社における人や組織に関する、今後の目標や目指す姿などを教えてください。

貞岡 短期目標は、全管理職がCAOを受講し、1on1で“人に焦点を当てる”コミュニケーションを実装することです。これは組織全体に対話文化を浸透させるための重要なステップです。中期的には、管理職以外のメンバーへも考え方を伝播させたいと考えています。エンゲージメントサーベイの活用も通じて、組織コンディションに良い影響を広げたいと思っています。そして最終目標は、当社の人事思想である “Aspirations Growth Platform with ONE” ――一人ひとりの想いを支援し、共に成長へ歩む――を体現することです。マネージャーとメンバーの対話を大切にし、自律的なキャリアと組織が接続されている状態を実現したいと思います。

理念と日々の対話がつながると、変化は持続可能になりますね。引き続き伴走させてください。

どんな企業にフィットするか──拡大・再編の只中にいる組織へ

最後に、今回ご採用いただいた弊社サービスCAO(Co-Active Approach for Organization)はどのような課題をお持ちの法人企業や組織に適していると思われますか?

貞岡 事業拡大でマネージャー数が増える組織や、再編で新しいメンバーをマネジメントする機会が多い組織に特にお勧めです。CAOはマネージャーのコミュニケーションスキル支援であると同時に、マネージャー自身の内省と成長支援にもなるプログラムだと考えています。


統合という大きな節目、事業の急拡大、役割の再定義。そのただ中で“人に焦点を当てる対話”を据え直したのが、Hakuhodo DY ONEの本質でした。マネージャー同士の学び合いと安全な場の設計は、会話の質と主体性を底上げし、日常業務へ還流する仕組みとして根づき始めています。ウエイクアップは、これからも共創のパートナーとして、この対話の文化がさらに広がるよう伴走してまいります。

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