Case

導入事例

次世代リーダーが起点となる
DNPグループの新たな企業文化

株式会社DNPメトロシステムズ
代表取締役社長 小野 康博 様
ICT システム本部 システム1部 部長 榎本 繁 様

株式会社メトロシステムズとDNPグループとの資本業務提携によって生まれた株式会社DNPメトロシステムズ。これを機に、ビジネススタイルの転換はもちろん、新たな社風や文化の創造、そして社員一人ひとりが変わるというチャレンジがスタートしました。そのベースとなったのが、ウエイクアップのコーチング。次世代リーダーの育成を通して、どのように貢献したのか、コーチングを採択された小野社長と、受講された榎本さんにお話しをうかがいました。
業界 情報処理
売上規模 1,879百万円(2019年3月末)
従業員規模 190名(2019年4月1日)
主要事業内容 ソフトウェア / インターネット関連

※ 所属、役職は取材当時のものです。

社員の本音を引き出し、意識をあるべき方向へと向かわせるために

ー DNPグループに入ってどのような変化があったのでしょうか

前身であるメトロシステムズは、広く一般企業に対してITサービスを提供している会社でしたが、DNPグループの一員となって以降は、主力事業として、グループのITソリューションやサービスを提供する会社へとビジネスを転換しました。転換したのは、ビジネスだけではありません。それまでは「いかに売上を上げるか」を部門ごとに競っている会社でした。ですが、会社の目指すところは「いかにITでグループに貢献するか」に変わりました。それに合わせ、新たな制度や文化が創られていきました。

私はDNPグループから当社の社長に就任し、事業戦略や社内制度の再構築を手がけてきました。それまでは社内で激しく競争をさせ、トップダウンで物事が決まっていた会社です。それが功を奏して大きな成果を上げてきましたが、部門連携など横の繋がりはなく、マネジメント層も社員も自分の意見を言うことはありませんでした。しかし、DNPグループでは、社内で連携を取り、一人ひとりが意志を持って、グループを成長させることを目指さねばなりません。その違いに不安を感じていましたが、社員はみんな協力的で、思った以上にスムーズに2年が過ぎました。私は「本当に心から賛同して協力してくれているのだろうか。本心を引き出す方法はないだろうか」と思うようになりました。ちょうどその時に、ウエイクアップに相談する機会があったのです。

代表取締役社長 小野康博 さん
代表取締役社長 小野康博 さん

ウエイクアップは本音を引き出す傾聴についてのプログラムをDNPグループで行っていました。私も参加したことがあり「コーチングは有用だ」と感じていました。そこでウエイクアップに何度か相談したところ、事業部長や部長といった幹部層全員にインタビューを実施してくれることとなったのです。

ー 導入の決め手、期待されていたことは何でしたか?

インタビューのレポートには、私が知りたかった社員の本音がまとめられていました。変化に直面し、感じている期待と不安がリアルな声で引き出されていたのです。おかげで次にどんな手を打てば良いか、はっきりわかりました。その一つが、ウエイクアップによる次世代リーダーシップ開発プログラムです。

ウエイクアップの提案書には「内的領域という人の見えないところに光を当て、成長させる」とありました。その考えが私に刺さり、決め手となりました。プログラムに期待したことは、3点。一つは、トップダウンに慣れた社員の意識の改革のきっかけになって欲しい。一人ひとりが自分の意見を発信することの大切さを学んで欲しいということです。二つめは、部門横断的な連携が自発的に生まれるマインドの醸成。そして最後に、参加した次世代のリーダーが、自部門のことだけでなく、自社やグループの未来を考えられるよう視座を一段上げる、ということ。これらが達成されれば、新たな事業戦略や企業文化を社員たちで創り出せる環境ができるはずですから。

ー プログラム内容と取り組み方への感想をお願いします

まず導入では、ウエイクアップとのミーティングとヒアリングの時間をしっかり設け、私の疑問や期待に応えられるよう、そして当社が抱える課題を解決できるよう、柔軟にプログラムをカスタマイズしてもらえました。CAO※1やTLC※2、システムコーチング®※3といった様々なプログラムを取捨選択してプログラムを組み立ててもらったのです。

参加メンバーには、ウエイクアップのような、能動的に動いて何かを生みだすプログラムが初めての社員もいました。最初は戸惑っているようでしたが、うまく講師が導いてくれることで、最後には多くの社員が自分から手を挙げて前向きに意見を言うように。これはとても良かったですね。コーチングはすぐに結果が出るプログラムではありません。しかし、当社では現在、参加したメンバーが中心となって、部門を超えて連携し、これからの人財育成を考えるプロジェクトを作る動きも出ています。私が期待したことが、はっきりと効果として顕れているのを感じています。

コーチングのエッセンスが、企業文化の土台となっていく

榎本繁 さん
榎本繁 さん
ー どんなことを期待してプログラムに参加されましたか

私は過去にウエイクアップのDNPグループ向けプログラムに参加しており、コーチング未経験というわけではありませんでした。「コーチングは仕事に活かせる」という実感があり、受講後は学んだことを活かして職場で傾聴を試したりしていました。しかし、なかなかうまくいかず、独学で勉強したり、セミナーに参加したりしていました。いつかは本格的なコースで学びたいと思っていたところ、「次世代リーダーシップ開発プログラム」の参加を打診され、受講をとても楽しみにしていました。

ー プログラムの感想をお聞かせください

メンバーは、同じ会社の社員。それもこれからのDNPメトロシステムズを担うことを期待されている部長やグループリーダーといった「次世代リーダー」同志。その中には、ほとんど話したことのない社員同士も多くいました。以前は部門をまたいでの連携がほぼなかったからです。DNPグループの一員となった事で会社の目的が「全社で団結し、持てるIT スキルやソリューションでいかにグループに貢献するか」に変わりました。多くの社員にとっては180 度近い転換。なかなか慣習が抜けず、部門をまたいでのコミュニケーションは活性化せず、会社の方針や決定事項、将来について自分の意見を出せる人間は少なかったです。

今回のプログラムは主体的に参加することが求められたため、どうコミュニケーションを取ればいいか、どこまで本音で話していいか、探っていた社員も多かったでしょう。このような場でも、ウエイクアップの講師陣がとてもうまくリードしてくれたため、徐々に誰もが自分の考えや意志を本音で話すようになっていったように感じました。会社が変わり、期待することや不安を感じること、やりたいと思っていることなどが聞け、理解や共感できたのがとても良かったです。半年という長期間のプログラムを受け、実践する中で、影響を受けたことは誰しもありますが、それでも全員が大きく変わったというわけではなく、業務に活かせてないメンバーもいます。一方で私のように大きく変わった人間もいます。

ー プログラム参加後の取り組みについて教えてください

私は受講後に人財育成のプロジェクトを立ち上げました。中心はともにプログラムを受けたメンバー。「ビジネスも文化も変わる。その中で社員が活躍し成長できるよう、これからのDNPメトロシステムズに最適な人財育成の仕組みを整備しなければ」という想いを持っていた者同志です。今までの研修は、ただ用意されたものを受けるだけ、研修内容を定着させる取り組みもそこそこで、せっかくの学びも時間とともに「良き思い出」に、といった残念な状態でした。次世代リーダーシップ開発プログラムで私にとっての一番の学びは、「成人の発達理論」の存在を知ったことです。今回、成長に時間がかかる「物事の捉え方・他者視点の持ち方」の変容ステップが理解できました。今後はそれを踏まえ、「心の成長(マインドセット)」と「能力の成長(スキル)」の両方をしっかりと実現できる、真に効果があり、そして後に生きる、次世代リーダー育成の施策と検証方法を考案しようと思っています。

すでに、翌年に実施した「次世代リーダーシップ開発プログラム」は、私たちメンバーが中心となって、ウエイクアップとともに、どうすれば心と能力の成長が実現できるプログラムとなるかを考えました。今後の人財育成の取り組みとして考えているのはコーチングを根付かせ、CAOのエッセンスである傾聴や未来志向を、DNPメトロシステムズ全社の共通言語にすること。そうすることで、コミュニケーションはより活発になるはずです。そのために私が社内コーチになることも考えています。

DNPメトロシステムズは社員のリーダーシップで成長していく、新しい社風や文化を創る、そんな企業にしていきたいです。そのベースにコーチングの存在は不可欠。当社にとって、それほど大きな気づきと影響を与えてくれたプログラムだったと感じています。

プログラム参加者と集合写真
プログラム参加者と集合写真

※1 Co-Active Approach for Organization:ビジネスに必要なコーチングスキルを理解・体得する実践型トレーニングプログラム
※2 The Leadership Circle®:リーダーが周囲に与えているインパクトを自覚するための360 度アセスメントシステム
※3 システムコーチング®:チームに対して行うコーチング。全員が肚落ちできる共通の目的について合意し、その実現に向けた全員で取り組む具体的な行動の実践を支援
システムコーチング®は、CRR Global Japan 合同会社の登録商標です。 https://crrglobaljapan.com

取材日:2020年3月30日
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