日本ビジネスシステムズ株式会社 様

関係性が深まる1on1へ──“あり方”に働きかける管理職支援の成果

WAKE UP Solutions:

関係性が深まる1on1へ──“あり方”に働きかける管理職支援の成果
日本ビジネスシステムズ株式会社 様

日本ビジネスシステムズ株式会社 様

業界名
情報・通信業
売上規模(連結)
1,725億円(2025年9月期)
従業員規模(連結)
2,838名(2025年9月30日現在)
事業内容
クラウドインテグレーション事業、クラウドサービス事業、ライセンス & プロダクツ事業

お話を伺った方
※ 所属、役職は取材当時のものです。

HR戦略本部 人材開発部 組織開発課 課長
須佐幸司 様

1on1の取り組みが広がる中で、「進捗確認だけで終わってしまう」「上司によって関わり方がバラバラ」といった課題を感じている企業は少なくありません。管理職がプレイヤー業務とマネジメントを兼ねる状況では、部下との関係構築や育成に十分な時間と質を確保するのが難しくなりがちです。会社としても1on1の品質を上げるための体系的な育成や支援の仕組みを提供できておらず、結果として1on1の進め方も人それぞれになってしまうという状況がよく見られます。日本ビジネスシステムズ株式会社(以下、JBS)でも、組織拡大に伴い管理職の負荷が高まり、部下育成のばらつきや孤立感が課題として顕在化していました。そこで同社は、管理職支援の一環として、対話を軸にした体験型研修「CAO(Co-Active® Approach for Organization)」※の導入を決断しました。1on1の質を高め、育成を“仕組み”として根づかせる取り組みを進めています。今回は、JBS HR戦略本部 人材開発部 組織開発課 課長の須佐幸司さん(以下、文中敬称略)に、導入の背景と現場で起きた変化についてお話を伺いました。

この記事の目次

1on1の属人化と管理職の孤立──見えてきた課題

まず、今回の取り組みに至った背景から伺えますか?

須佐 2023年に社内アンケートやインタビューを通じて、管理職の方々の声を集めました。すると、「部下とのコミュニケーションが難しい」「1on1のやり方がわからない」といった声が非常に多かったのです。

それは、かなり根深い課題だったのではないでしょうか?

須佐 ええ。1on1が完全に個人依存になっていることが明らかになりました。ある部門では丁寧に時間を取って対話している一方で、別の部門では『とりあえず進捗だけ確認して終わり』というケースもあり、関わり方の質も頻度もバラバラという状況でした。

部下側からも不満が出ていたのでしょうか?

須佐 はい。「上司によって全然違う」「会社としての方針が見えない」といった声もありました。組織としての一貫性が問われていると感じましたね。

【加工済】JBS様5
左から 須佐幸司さん、ウエイクアップ 平川

管理職の孤立を防ぐ“横のつながり”と、対話を中心に据えた支援のかたち

管理職層への施策検討の背景には、どんな構造的な要因があったのでしょう?

須佐 一番大きかったのは、管理職がプレイヤー業務とマネジメントを両立していることです。特に組織が拡大してからは、一人で20人、場合によっては50人近くのメンバーを見ているケースもありました。そうなると、どうしても“育成”より“業務処理”が優先されてしまう。

それは相当な負荷ですね。

須佐 ええ。しかも、同じような悩みを抱えているのに、横のつながりがないから相談もできない。彼らはプレイヤーも兼ねている管理職でもあるので、常に多忙状態であることから、結果的に「孤立化」を生み出してしまうという悪循環が起きていたのです。

そこで、体験学習を通じて“横のつながり”も同時につくろうと思われたのですね?

須佐 そうです。彼らにただ「1on1について学んでもらう」だけではなく、「同じ立場の人同士が悩みを共有し、学び合える場をつくる」ことが大事だと考えました。ウエイクアップさんからも、コーチング的な関わり方を共通言語化することこそ「同じ立場同士が悩みを共有し、学び合える機会をつくる」ことが示されて、同社のCAOの導入を決断しました。CAOでは体験学習を通じて、横のつながりを育みながら、コーチング的な関わり方を身につけることで、メンバーの成長を促し、結果的に管理職自身の負担も軽減されることを期待したのです。

なぜCAOを選んだのか──スキル起点ではなく“あり方”起点の働きかけ

コーチングの研修というと少しハードルが高い印象もありますが、実際はいかがでしたか?

須佐 そうですね。実は私自身も、最初は「コーチングって何をするのだろう?」という感覚でした。でもCAOは、いわゆる“技術”を教える研修ではなくて、「人との関わり方を見直す場」でした。

数ある選択肢の中で、なぜウエイクアップを選ばれたのでしょうか?

須佐 一番の決め手は、「やり方(How)」だけでなく、「あり方(Being)」に働きかける設計だったことです。多くの研修は、1on1の進め方や質問例など“コーチングスキル”にフォーカスしがちですが、ウエイクアップさんのアプローチは違いました。上司として、自分が部下にどんな影響(インパクト)を与えているのかを自覚することで、コミュニケーションの土台である「あり方(Being)」も学べる点に共感しました。

まさに、管理職の“スタンス”に働きかけるということですね。

須佐 はい。しかも、実際に対話しながら気づきを得る体験型であることも大きかったです。座学で学ぶのではなく、実際に対話して、感じて、気づく。だからこそ、現場に戻っても「使える」「続けられる」と感じてもらえる。そうした設計思想に、私たちの課題感と願いがぴったり重なったのです。

具体的には、どのようなことを「体験」するのでしょう?

須佐 例えば、部下との会話で「何を話すか」ではなく、「どう聴くか」「どんな姿勢で向き合うか」を体験的に学びます。ロールプレイや対話を通じて、自分の癖や反応に気づくんです。ある参加者は、「部下の話を聞いているつもりだったけど、実は“答えを探していた”だけだった。自分の意識が部下ではなく、課題解決にしか向いていなかった」と気づいていました。

関係性の変化が生み出す組織の進化──共通言語と文化の土台づくり

参加者の方々に、どんな変化が見られましたか?

須佐 まず、1on1の質が変わってきたと感じます。以前は「進捗どう?」で終わっていたのが、「最近どう感じている?」「どんなことにやりがいを感じている?」といった問いが増えてきたのです。ある部長は、「部下のキャリア観や悩みを初めて知ることができた」と言っていました。

それは大きな変化ですね。

須佐 ええ。そしてもう一つ大きかったのが、「自分だけが悩んでいるわけじゃない」と気づけたことです。CAOのプログラムの中で、管理職同士がリアルな悩みを共有し合う場面があり、「みんな同じように悩んでいるんだ」と安心感が生まれました。そこから、自然と横のつながりが生まれていきました。

横のつながりが生まれることで、どんなメリットがありましたか?

須佐 まず、孤立感が軽減されてきたように思います。「誰にも相談できない」と思っていた人も、「同じ立場の人も悩んでいる」と知ることで、安心感が生まれているのだと思います。さらに、やり方や工夫を共有し合えるようになったことで、相互支援が進みました。「こんな聴き方をしたら部下が話しやすくなったよ」といった具体的なTipsが自然と交換されるようになって、学びが現場で定着しやすくなったと感じています。そして何より、共通言語が生まれたことが大きいです。「人に焦点を当てる」「内発的動機づけ」といった言葉が、部門を越えて聞こえてくるようになりました。これは、育成や文化づくりの土台になると実感しています。

それは、文化づくりの第一歩ですね。

須佐 まさにそうです。これまでバラバラだった管理職の関わり方に、共通の土台ができつつある。これは、今後の育成や組織文化づくりにとって、非常に大きな意味を持つと思っています。

今後の展望と、同じ課題を持つ企業へのメッセージ

今後の展望について教えてください。

須佐 今は部長層への展開がほぼ完了し、これからは課長層へと広げていくフェーズです。さらに、部下側にも「この時間は自分の成長のためのものなんだ」と理解してもらえるような支援もしていきたいです。

上司だけが頑張るのではなく、関係性の両側から支えるということですね。

須佐 はい。そして“自転車に無意識で乗れる”ように、自然と対話ができる状態を目指しています。そのためには、継続的な学習の仕組みや、受講者同士のピアサークルのような場も必要だと考えています。

最後に、CAOをどんな企業におすすめしたいですか?

須佐 1on1が形骸化していたり、管理職がプレイヤーとマネジメントの両立で孤立しがちな企業には、特に有効だと思います。単なるスキルの習得ではなく、「人との関わり方そのもの」を、体験を通じて見直せる点が大きいですね。例えば、部下との関係性がうまく築けずに悩んでいる管理職が、「どう話せばいいか」ではなく「どんな姿勢で向き合うか」を学ぶことで、自然と対話の質が変わっていく。これは、どのような業種・規模の企業でも共通して役立つと感じています。また、参加者が「自分だけが悩んでいるわけじゃない」と気づけることも、孤立しがちな管理職にとっては大きな支えになります。そうした安心感や横のつながりが、結果的に組織全体の育成力やエンゲージメントにもつながっていく──そんな実感があります。

本日はありがとうございました。

須佐 こちらこそ、ありがとうございました。

※ CAO(Co-Active® Approach for Organization):ビジネスに必要なコーチングスキルを理解・体得する実践型トレーニングプログラム。世界中で15万人以上、日本だけでも13,000人を超える人が受講しているCTIのコーチ・トレーニング・プログラムをビジネス向けにカスタマイズしたもの。

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