Case

導入事例

リーダーのマネジメントが劇的に変化:
パーソルキャリアのマネジャー向けコーチング研修

パーソルキャリア株式会社
コーポレート本部 戦略人事統括部 エグゼクティブマネジャー 加々美祐介 様
転職メディア事業部 第2統括部 IT グループ マネジャー 原英孝 様

プロジェクトや業務を推進する際は、「コト」と「ヒト」の2 つの視点が重要です。効率よく回せる仕組みを作り、成果の創出を目指すのが「コト」。参画する一人ひとりの考え方や思い、成長を重視するのが「ヒト」。このバランスが成功の鍵です。パーソルキャリア株式会社では、「コト」偏重の組織となっていることに課題を感じ、CAOの導入を決定されました。そのねらいや効果、展望について導入を決定された加々美祐介さんに、受講してみての変化を原英孝さんにお聞きしました。
業界 人材サービス
売上規模 非公開
従業員規模 4,321名(有期社員含む、2017年3月時点)
主要事業内容 正社員領域・アルバイト・パート領域の求人メディアの運営、人材紹介サービス、 新卒採用支援、教育研修サービス、組織・人事コンサルティングサービスなど

※ CAO:Co-Active Approach for Organization の略称。ビジネスに必要なコーチングスキルを理解・体得する実践型トレーニングプログラム
※ 所属、役職は取材当時のものです。

「コト」と「ヒト」のバランスが取れた組織のために

コーポレート本部 戦略人事統括部 エグゼクティブマネジャー 加々美 祐介 様
コーポレート本部 戦略人事統括部 エグゼクティブマネジャー
加々美祐介 様
ー どのような背景で導入を決定されたのでしょうか?

「現場社員の主体性が削がれてしまっているのではないか」という提起が経営戦略会議において出されたのが出発点でした。その議論を進めていくうちに、その原因は、まず経営層にあり、変革すべきは、経営層とマネジャー層である、という結論になりました。当社の経営陣を含むマネジメント層の強みは、目の前の課題解決や成果の創出に向けて効率よくPDCAを回す仕組みを作ること。つまり、「コト」の推進。急速な成長を果たすためには、その仕事の進め方が目標達成や顧客満足度向上への近道でした。しかし、その強みが現場の主体性を奪っていたことに気づきました。現場社員は、その仕組みをいかに効率よく動かし、成果を出すかに終始してしまい、「どうありたいか」「どうしたいか」「どう新しい仕組みを創るか」「どう改良すべきか」といった主体性や創造性を発揮する機会がなくなっていたのです。

さらに、リーダーシップのスタイルは連鎖します。経営層に育てられたマネジャーは、往々にして同じスタイルで部下を育てます。結果、組織はより「コト」偏重になっていく。現場の主体性を奪っていたのは経営層から連なる各マネジメントレイヤーだったのです。

主体性のある組織・人材を育成するためには「コト」を推進するだけではなく、「ヒト」の側面も重要です。そういった経緯があり、経営層に対するエグゼクティブ・コーチングと同時に、「現場社員へ一番影響力があるのはマネジャーのリーダーシップスタイルである」と、マネジャー層へのコーチング施策の導入を決めました。

ー 導入の際に重視されたのはどのような点でしたか?

当社の課題はマネジメントスタイルが「コト」中心であること。そのため、「自分が相対しているのはコトではなくてヒトである」ということを理解しながらスキルを身につけられる、体験学習中心の研修を行おうと決めました。ウエイクアップに依頼した決め手は、HOWの部分はもちろんのこと、打ち出されていたメッセージが当社のニーズに合致していたから。「ヒトは可能性に満ちあふれている」と明確に謳われており、「ヒトに対してどういうコミュニケーションと関係性を築くと相手の可能性を引き出せるのか」に集中されていたからです。

リーダーが新たな武器を身につける機会に

ー どのような効果が出ていると感じてらっしゃいますか?

導入したのは、CAOのプログラム、2~3ヶ月後の半日のフォローアップ、それに自由参加のコミュニティミーティングというプログラムでした。コミュニティミーティングは参加者が定期的に成果や変化を共有し合う場です。仲間がその後どうしているかを共有し、悩みの相談を気軽にできる場があるといいのでは、と設定しました。

プログラムへの参加は立候補制にしました。当社のマネジャーは30代が中心。いわゆる「できる社員」なのですが、「自分と同じようにできる」ことを部下に当たり前のように求めてしまうタイプが多い。そして、彼らは「コト」メインでPDCAを回してきたタイプが多い。しかし、それだけでは組織を率いることはできません。そこに課題を感じて立候補してくれればより効果があるのでは、と考えました。現在、参加メンバーの周囲からは、「話を聞くことが苦手」だったマネジャーが「まず話を聞いてくれるようになった。自分を理解してくれようとしている」という声や「協働することが苦手だったリーダーが、他の組織まで範囲を広げて人と関わり始め、リーダーシップを発揮している」という評判が聞こえてくるようになりました。人と関わる重要性を理解し、変わろうとしているのです。もちろんすぐに効果が出るものではないと思うので、今後も観察は必要だと思っています。ですが、まずは狙った効果がじわじわ出てきていると感じています。

ー CAOはどのような人材、企業に適していると考えられますか?

マネジャーになったものの、今までのやり方が通用せずに成長速度が鈍くなってしまい、ポテンシャルを活かしきれていない人にはいいでしょうね。自身の考え方や人との接し方をリセットできるいい機会だと思います。マーケットや組織が急速に拡張しているのに、社員を率いるマネジメントが質・量ともに足りていない企業には、マネジャーの育成として効果があると感じます。

マネジャーの力量が「コト」だけではなく「ヒト」についても上がると、メンバーの生産性や満足度も上がります。コーチングはそこに貢献できると思います。

マネジャーに必須の「ヒトと関わる」ことの重要性

ー 研修に参加しようと思われたきっかけを教えてください

転職情報サイト「DODA」の求人広告営業のマネジャーに就任し、多様なバックグラウンドを持った社員と協働することになったのがきっかけです。それまでは同じ業務に携わる者同士で協働していましたから、マーケット分析やアプローチの方法など、自分がやってきた業務の経験、戦略やロジックを教えればよかった。いうなれば「コト」の伝達です。ですが、マネジャーはメンバーの成長まで担うので、「ヒト」も重要。「こうすればいいよ」と自分の背中を見せるだけでは通用しない。そこに弱さを感じていました。

自分の感情を出したり、相手の感情を扱うことに苦手意識を感じていて、それができている先輩やマネジャーに憧れもありました。いつかはそのスキルを身につけねばと思っていたところ、先輩からこの研修を勧められ、参加を決意しました。

転職メディア事業部第2統括部 ITグループ マネジャー 原英孝 様
転職メディア事業部第2統括部
ITグループ マネジャー 原英孝 様
ー コーチングにはどのような印象をお持ちでしたか?

先ほどお話ししたように、「ヒト」に対しての考え方を身につけることは、自分にとってチャレンジでした。なのでコーチングには「向いていないかも」という不安はありました。実際、CAOの初日は自分の感情を出すことや、相手の話を肯定した雰囲気で聴く点に、「苦手な研修だ」と感じてしまいました。「傾聴なんていらない。教えればいいんだ」と思っていたほどです。

意識が変わったのは、2つのポイントがありました。ひとつは研修の中での「相手の強みを伝える」というワーク。今までは仕事の「結果」、つまり「コト」について褒められることはありました。自分が知っていることについて褒められても「そうですよね」と思うだけ。しかし、自分、つまり「ヒト」について褒められると嬉しいな、いいものだな、と思ったのです。研修ではあらかじめ「褒められますよ」といわれていて、反応もしやすかった。この経験のおかげで「ヒト」に焦点をあてるコミュニケーションの大切さがわかり、身につけたいと思いました。

もうひとつは、学んだことを実践したことです。まだ懐疑的だった私は、学んだ通りに部下の話を聴いてみたのです。いつもならすぐアドバイスするところをぐっとこらえて、「何でも言っていいよ」とニコニコしながら黙ってしっかりと話を聴きました。そして、相手が言った言葉をそのままメモに取り、最後にメモを部下に見せました。すると部下が「じっくりと聴いてもらいながら話すことで自分の問題点とやりたいことがクリアになった」「自分の言葉にはネガティブな要素が多すぎることに気付いてぞっとした」と話してくれました。そこから部下は働く態度や言葉を変えるように。成果も出るようになったのです。今までなら、部下に「自分が変わらないといけないんだよ」と言って終わっていたでしょう。それでは部下は自ら動くことはなかったかもしれません。

「聴くこと、相手を認めることを身につければマネジャーとして大きな武器になるぞ」と実感し、そこから本気になれましたね。

イメージするキャリアパスのための基礎力に

ー CAO以外についてはどのように感じられましたか?

フォローアップはありがたかったですね。学んだことを活かしていろいろな人の話を聴いてはいましたが、回数を重ねる中で自己流になっていました。そこを矯正してもらえたのはよかったです。コミュニティミーティングにも参加しました。さまざまな年次の社員と話し、その成功談や失敗談からどういう態度、やり方で活用すれば最大限に効果を発揮することができるかをつかむことができました。

また並行して当社では「他の部署にインターンシップする」という取り組みも行っていました。異なる領域のメンバーにメンターとして関わり、その人の成長を促進するものです。ここでも研修で学んだことが試せました。あえて彼らが何をしているか知らないようにし、聴き役に徹したのです。彼らを信頼し、相手がどう考え、どう感じ、どうしたいのか、Teaching要素を一切なくし、Coaching全開で「ヒト」に焦点を当てて関わってみました。彼らが変化し、いきいきと働いているのを見て、「聴くだけで人は変わる。これでいいんだ」と確信しました。学んだことを試せる機会が多く設けられていたのは、効果を実感できるのでとても良かったですね。

ー マネジャーの仕事にどのようなプラスがありましたか?

先ほどお話ししたように、これまでの「コト」メインでの仕事の進め方に加え、「ヒト」視点での考え方やチームの作り方を身につけることができました。メンバーからも「チームで達成したい」という発言が出てきました。これはマネジャーにとって大きな武器ですし、今後必ず活用できるスキルだと感じています。

当社は「コト」で考えるリーダーやマネジャーが多いのが現実です。ですが私が憧れ、目指している先輩や上司は、「ヒト」でも捉えている方が多いのです。今回はそんな人たちに近づけるヒントを得られたと思っています。とても貴重な成長の機会になったと感じています。

新任のマネジャーやグループリーダーなど、それまでと業務の内容が大きく変わり、求められる期待役割にギャップを感じている方にはとても効果的な研修だと思います。後輩たちにもぜひすすめたいと思っています。

取材日:2017年12月5日
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