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導入事例

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“人が変わることで、企業全体が変化する”

土佐ガス株式会社 取締役相談役 宮坂幸雄 様

時代背景等からトップダウンによる意志決定、営業活動の推進が長年の慣習となっていた土佐ガス株式会社(以下、「土佐ガス」と表記)。その結果、アイデアや意見の出にくい環境、当事者意識の希薄さなどが潜在的な問題に。より大きな成長を果たすためには、一人ひとりが「自分が会社を動かすのだ」と考え、アイデアや意見を出し合い、主体的に動くボトムアップへの転換が急務と、声がかかったのがウエイクアップでした。コーチングを通して、役員・社員それぞれの中に眠っていたやる気や会社への思いが引き出され、徐々に行動が変化。さらに業績面でも成果を生み出すことに。その変化について取締役相談役・宮坂幸雄さまにお話しをおうかがいしました。
※所属 役職は取材当時のものです
業界 ガス
売上規模 26億円(連結:2015年6月期 )
従業員規模 152人(連結:2015年12月)
事業内容 LP ガス小売り・住宅リフォーム・福祉機器サービス・ソフトウェア作成・設備工事

さらなる成長を目指すためにコーチングを導入

取締役相談役 宮坂幸雄さん
取締役相談役 宮坂幸雄さん
ー ウエイクアップに依頼されたきっかけを教えてください。

土佐ガスは長い間、トップダウンで会社の方針が決まり、社員がそれに従って動くという会社でした。私自身も自分の判断を役員以下に通達するというやり方をとっていました。その結果、社員たちは結局常に上司の顔色をうかがい、自分のアイデアや意見を発言する機会がなく、仕事の指示は上からやってくるものだという認識に。上司や役員にも、部下の意見を汲み取るという習慣は生まれにくかった。
トップダウンのやり方は、的確な指示さえ出せれば、スピード感を持って成果を出すことができるのがメリットです。ただ、社員は上からの指示に従っているだけですから、会社に対しての当事者意識は希薄。また、指示の精度で成果が決まりますから、指示を出すトップの能力以上に会社が成長することはありません。
「これではいつか成長が止まってしまう」
という危機感を、社長時代からずっと感じていました。そして目指すべきは、今とは逆のボトムアップの体制だ、と考えていました。社員全員が会社の成長を目指して、アイデアを出し合い、それを上司が汲み取り、方針に変えていく。そのほうが、一人よりも大きな力が出せるはずです。社長時代から10年以上、どうしたらそれが実現できるかを考えてきました。様々な方法を試したのですが、私自身が指示を出すことに慣れていたこともあり、なかなか上手く効果が出ていませんでした。そんなときに、ウエイクアップのコーチングをすすめられたのです。コーチング自体は日本に入ってきた当時から知っていました。書籍を読み、実践しようとしたこともあります。でも私は自分が指示を出すことに慣れていましたから、当時は「じっくり聴き取るという方法は自分に合わないな」と思ってしまっていたのです。ただ、これからの土佐ガスは、社員一人ひとりがアイデアを出し合い、話し合える会社にならないといけない。「そこにならコーチングの方法を活かせるのでは」と考え、依頼を決めました。やるならとことんやろう、と1 年目は社長・役員・所属長への導入を命じました。

一人ひとりが変わることで、会社全体が変化

ー ご自身もコーチングを受けられた理由はなにでしたか?

最初の1 年間、私はコーチングを受けませんでした。社員が変わり、会社が変わるのが目的だったからです。役員チームに毎月のシステム・コーチング®※1、そして役員と所属長にコーチングスキル研修※2 を受講させました。その1 つの成果として、全社員が集まる全体会の中で自分たち自身で実施する「思いの会」があります。会社の現在と未来について社員が思いを話し合う会で、企画自体は良い試みだと思いました。ところが、その様子を見て、「このままだと変わらないぞ」と感じてしまったのです。その場は「セッションを受けたことを報告するパフォーマンスの場」になっており、そこで出てくるのは、本当に心の底にある「思い」ではなく、当たり障りのないことばかり。私の顔色をうかがいながらのかしこまった報告になってしまっていたのです。その原因は私にもありました。コーチングを受け、そして実践することが私からの「指示」になっており、なぜ受けるのか、コーチングを経てどう変わって欲しいのか、という狙いと目的が伝わっていなかったのです。また、彼らに任せきりで、経過についての聴き取りもしていませんでした。「自分も向き合い方を変えないと、会社は変わらないぞ」と痛感し、2 年目からは私も役員と一緒に毎月システム・コーチング® を受けることに。合わせて、次の土佐ガスを率いていかねばならない社長には、毎月エグゼクティブ・コーチング※3を受け始めてもらいました。

ー 感想はいかがでしたか?

ウエイクアップのセッションで驚いたのは、「人に焦点を当てる」こと。ここでは、常に「相手がどう思うか」を考える。そして「なぜそう思うのか」という理由を考えていく。それまでは、指示をした際にマイナスの意見が出ても「前向きに考えてとにかくやってみろ」と言っていました。しかし「なぜできないと思ったのか」を考え、理由を突き詰めると、自分たちがやろうとしていることの欠点や課題が見えてくるのです。トップダウンに比べ、このようなボトムアップは時間もコストもかかります。ただ、意見を出し合って議論を行うと、当事者意識が高くなり、納得感もある。また、あらかじめ欠点や課題を抽出できるので、実行時に失敗することも少なくなり、成果を出せれば達成感はとても大きくなる。自分がセッションを受けて、そのことに気付きました。
また、コーチとして「なぜ土佐ガスで働くのか」「土佐ガスをどうしたいのか」など、うまく社員たちの志や当事者意識を引き出してもらえたと感じています。トップダウンに慣れてしまうと、社員は仕事に夢を描けない。やりがいも感じにくい。仕事を我が事として感じられるよう、社員それぞれがもっている熱や思いを呼び起こしてもらったと思います。その結果が、レベルアップした現在の「思いの会」や新しい取り組みに表れていると感じています。

ー 変化を感じられたのはいつ頃でしょう。

熱や思いが高まっているな、と感じられたのは2 年目の全体会ですね。それぞれの社員からアイデアが出始め、自分で考えてボールを投げ出したのです。ただ、投げるだけで、まだキャッチボールになっていないな、とは感じました。アイデアは出るけど、お互いにそれを受け止め、議論できていない。議論まで、全社でできるようになってきたなと感じたのは、3 年目ですね。報告を聞くだけだった役員会が、意見を出し合う場になった。それまで30 分で終わっていた会議が、半日かかるようになりましたよ。

ー ご自身が変わられた実感はありますか?

周囲からは変わったと言われますが、実感はあまりありません(笑)。ただ意識して変えているところはあります。社員のひと言を聞くと、すぐに答えを返し、結論を言ってしまうのが以前の私でした。これではアイデアや意見を話しにくい。最近は意識して話を聴くようにしてます。まだまだ私の顔色を見ているなという気はしますが、それでも意見が出るようにはなってきましたね。

全体会議の様子

全体会議の様子

※1 システム・コーチング®:チームに対して行うコーチング。全員が肚落ちできる共通の目的について合意し、その実現に向けた全員で取り組む具体的な行動の実践を支援。

※2 コーチングスキル研修CAO(Co-Active Approach For Organization):ビジネスに必要なコーチングスキルを理解・体得する実践型トレーニングプログラム。全世界で20 か国以上約50,000 人、日本だけでも9,150 人を超える人が受講しているプログラムをビジネス向けにカスタマイズ。

※3 エグゼクティブ・コーチング:1対1で行うコーチング。自ら周囲に発しているインパクトを視覚的に捉え、その奥にある思い込みに気づき、新たな行動を継続的に起こすことで「本質的な変化」をもたらす。

変化が、業績の向上にも繋がる

ー 業績面での成果も表れたとお聞きしています。

現在、3 つの事業部がそれぞれの部内でアイデアを出し合い、方針を決めて、活動を行うという体制をとっています。それぞれの部内会議にも、ウエイクアップに入ってもらっていますが、そのうちのひとつの事業部が、大きく売上を伸ばし、成果を創出できました。これまで苦手としていた商品の販売を大きく拡大したのです。「苦手なのはなぜか?」と理由をとことん話し合うところからスタートし、営業で実績を上げている他社にヒアリングに行き、自分たちの営業方法に活かすということまでしました。一人ひとりが主体的になる、いままでにない動きといえます。こうした成功体験を通して、彼らは大きな自信が得られたと思います。また、他の事業部にとっても、刺激になったのはもちろん、「こうすれば結果に繋がる」という途を示せました。その結果、社員が楽しみながら仕事ができる風土ができつつあると感じています。「会社に勤めている」ではなく「自分が会社を動かしている」に変わりつつある。やっと目指していた体制への、一歩を踏み出せたというところでしょうか。
現在、ウエイクアップには、それぞれの役割や立場、状況に応じて、取り組み内容にも変化をつけてもらっています。また、これからもコーチ、そして時にはオブザーバーとして会議の品質をよく見ていただき適切な問いかけや必要な指導をしてもらうことで、社員のやる気を正しい方向に整えてもらえることを期待しています。今後は自分たちで学んだことを実践し、自走できることを目指していかねばなりませんから、その頻度は減らす方向で考えています。
私は来年、相談役を退任することに決めています。今の変化を見ていると、その日に安心して土佐ガスを離れられる、と胸をなで下ろすと同時に、わくわくもしています。

代表取締役社長 高橋 浩介さん
代表取締役社長 高橋 浩介さん

今まではトップダウンで会社の方向性、各部の方針を決めていました。ウエイクアップのコーチングを取り入れたことによって、今までいかに自分の考えを正しいと信じ込み、社員の意見を聞かずに物事や方針を決めていたかに気づきました。今後は社員一人ひとりの意見を受けとめ、そのさまざまな意見を集めたうえで、社員と合議制をもって価値観を共有しながら、これからの土佐ガスをつくっていきたいと考えています。

取締役 部長 大西 均さん
取締役 部長 大西 均さん

昔からネガティブな話を聞くのが大嫌いで、部下は私の顔色を見ながら前向きな話ししかしませんでした。ウエイクアップのコーチングを取り入れるようになって、部下からいろんな意見がでるようになりました。
上司が部下の話をちゃんと聴くことで、会社は少しずつ、でも確実に変わっていっていますね。

副部長 宮 敬二さん
副部長 宮 敬二さん

ある時、部下に全体会議に出席したくないと言われました。ショックでした。会議がいつの間にか各チームの進捗状況を詰める場になっていたのです。そこで、ウエイクアップのコーチングでの気づきをもとに全体会議のすべてを見直すことにしました。少しずつですが、意見や質問がでるようになり、「自分たちで会社を作っていこう」という意識に変わりつつあります。

課長代理 西村紀美さん
課長代理 西村紀美さん

もっと、やりがいを感じて、楽しく働いてほしい。社員の状況を見て、社内の雰囲気を変えたいと思いつつ、「私一人に何ができるのか」とあきらめている部分もありました。でも、ウエイクアップのコーチングのおかげで、個々の持っている可能性を拓くことができ、部署の社員ひとりひとりの自信に繋がってきています。その効果は全社にも広がっていて、少しずつ、前向きな雰囲気に変わってきていると感じています。

取材日:2016年6月22日
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